ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本語話者による、知的交流コミュニティーです。

次回交流会のご案内

次回の交流会は9月23日(土)に2023年度基調演会として、和田一実先生(MIT Visiting Professor, 東京大学)による講演を予定しております。

参加申込期限:2023年9月21日(木)21時
参加費:無料(講演会のみ), $35 (講演会+懇親会)*

*懇親会のみの参加はご遠慮ください。講演会への参加確認ができなかった場合、参加費の支払いの有無にかかわらず、懇親会への参加をお断りさせていただきます。なお、この場合、参加費の返金対応もできかねますことにご了承ください。
*参加費は懇親会会場予約の都合上、申込時のお支払いをお願いしております。ご協力の程よろしくお願い致します。期限までに参加費のお支払いを確認できない場合、申込フォームでの懇親会参加希望の有無にかかわらず、懇親会不参加として登録させていただきます。


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キャンセルについて

お申込み後にご都合により参加できなくなった場合は、事前になるべく早くメールでその旨をお知らせください。 また、懇親会にお申し込みいただいた方は、講演会3日前の5月17日(水)までにご連絡いただきますようお願い致します。それ以降のキャンセルにつきましては、会場予約の関係上、返金に応じられませんので、予めご了承ください。


日時・スケジュール

16:20-16:30 挨拶・お知らせ
16:30 – 18:00 基調講演 「シリコンフォトニクス」和田一実 氏
18:15 – 懇親会


会場

講演会: MIT E51-325 (2 Amherst Street, Cambridge, MA 02142)
懇親会: Royal East


講演要旨

和田一実 氏
Massachusetts Institute of Technology, The University of Tokyo

「シリコンフォトニクス」
人類史、いわゆる石器時代、青銅器時代、そして鉄器時代にならえば、現在はシリコン時代と言えよう。シリコンは、集積回路(LSIs)の基板として情報処理の高速化・低電力化をもたらし、近年では新たな情報処理担体として高速な光を用いる光集積回路(PICs)の基板ともなり、高度情報処理社会のさらなる発展のための「道具」を人類に提供し続けている。シリコンフォトニクス(SiPh)はその基盤技術体系であり[1]、現在日米欧で国家プロジェクトとして推進されている[2]。
光通信によって確立された1.55µm帯のレーザー光に対しシリコンは透明であり、しかもシリコンの導光路は急峻に(波長オーダーで)曲げても伝播損失が低い特徴を持つため、光回路を小型のチップに集積する道が拓かれた。さらに、この波長帯はゲルマニウム(Ge)により吸収され、その能動光デバイス化に関する研究が進んだ。これらシリコンプラットフォーム上のデバイス群からなるPICsチップはCMOS互換であり、「ファンドリー」生産が可能なため、デバイス基礎からPICsチップのManufacturingまでの研究のturn-around-time (TAT)が短縮し、中心課題はpackagingとなっている。
本稿では、筆者とそのグループがMITと東大で推進したSiPhの材料、デバイスおよびシステムに関する研究を概説する。具体的にはシリコン上の無転位Geのエピ成長[3]、歪みGeを活用した受光器[4]、変調器[5]、レーザー[6]、さらにはクロック伝搬回路(H-Tree) などを紹介する。これらを集約した、データセンター、3Dイメジャー(LiDAR)、センサーなどのシステム実装が国家プロジェクト[2]により推進され、SiPhはサステナブルな社会の実現手段として高い期待がある。
歴史に名を残す材料群は人類の「Quality of Life (QoL)」を高めてきた。これまでのQoLは「快適・便利」が主であったが、今後は「安心・安全」の比重が増すと考える。我々の進めるSiPhの医療応用に関する研究を紹介する。

参考文献 [1] 和田 一実、L.C. Kimerling, 応用物理 76, 141, 2007. https://www.youtube.com/watch?v=I79Y71x5rcQ
[2] https://www.aimphotonics.com, https://www.photondelta.com, http://www.pecst.org/outline_en.html
[3] H.C. Luan, et al., Appl. Phys. Lett., 75, 2909, 1999.; M. Yako, et al., IEEE J. of Selected Topics on Quantum Electronics, 24, 8201007, 2018.
[4] Y. Ishikawa, et al., Appl. Phys. Lett. 82, 2044, 2003.
[5] J.F. Liu, et al., Opt. Express 15, 623, 2007.
[6] R.E. Camacho-Aguilera, et al., Opt. Express 20, 11316, 2012.


過去の講演

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