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第171回講演会 †
日時: 2019年3月16日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E25-111
「私たちの社会は私たちが作れる〜「仕方がない」から「仕方がある」へ〜」 †
鎌田 華乃子 氏
ハーバード大学 社会学部
ウェザーヘッド日米関係プログラム
概要
「しかたがない」みなさんは最近、どんなときに言いましたか?「私の参加により,変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」という質問に対して、そう思うと肯定した日本の中高生は30.7%。同じ質問に対しアメリカは52.9%、ドイツは52.2%でした。
社会運動というと学生運動、安保運動を思い浮かべる人が多いかもしれません。「結局何も変えられなかった」と。しかし、国際的な政治学・社会学でさえも日本の様々な社会運動―消費者、公害、労働、マイノリティ人権運動など―の成功事例が分析されています。でも肝心の私たちはそのことを知りせん。私は企業活動から社会をよくしようとし、市民社会にキャリアをシフトし、現在は変化を起こせる効果的な社会運動を研究しています。なぜ私たち一人ひとりが社会変化を求めて動くことが大事なのか、私自身や仲間たちが起こした事例をもとになぜ変化を起こせたのか、そして私たちは何をしていく必要があるのか提起してみなさんと考えたいです。
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「光が導くがん外科治療の未来」 †
野村 信介 氏
Gordon Center for Medical Imaging, Massachusetts General Hospital
防衛医科大学校
概要
皆さんは人体アトラスをご覧になったことがありますか?動脈は赤、静脈は青、神経は黄色、リンパは緑などのカラフルに描かれています。しかし、実際の手術ではこのような臓器同士の境界線を認識することは困難なことが多く、しかもこれらの脈管やリンパは黄色い脂肪に包含されているため、外科医は手術前の画像や「経験」を元に臓器を切り分けていかなくてはいけません。また、内視鏡下手術の普及に伴い、開腹手術のように直接外科医の手で体腔内において臓器を触れることができないため、より視覚情報が重要になってきます。そこで、臓器の輪郭やがん組織を特異的に「光らせる」蛍光色素やナノ粒子を用いることで、がんの正確な位置や人体アトラスのような生体の構造を容易に視認できるようになり、外科医はより安全、確実な手術を行えるようになります。本講演では、胃がんを軸に光線療法の話題にも触れながら基礎的なことから臨床応用までお話ししたいと思います。
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第170回講演会 †
日時: 2019年2月16日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-345
「バッテリーと原子の話 〜電池ってなんだ?〜」 †
長尾 佳祐 氏
Massachusetts Institute of Technology
IHI
概要
皆さんのスマートフォンに入っている「リチウムイオン電池」は1991年に生まれ,現在では当初の2~3倍まで性能が向上しました.軽く・小さくなったことで,ドローン・ウェアラブルデバイス・電気自動車などワクワクする製品が実現してきました. このように私達の生活に無くてはならないものになった電池ですが,そもそも電池とは何でしょうか?どうして電気をためられるのでしょうか? 実は,電池でキーとなるのは原子(大きさ約0.0000000001メートル)の動きです.本公演では,原子を見ることに情熱を注いできた演者が,電池が動くメカニズムについて原子の視点からお話しします.さらに,現在研究している「ナトリウム」イオン電池を紹介し,将来の電池がどうなっていくか,電池は社会にどんな影響を与えるのかを様々な分野の皆さまと一緒に考えてみたいと思います.
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「老化速度の制御は可能か? 〜ここまでわかった老化の分子メカニズム〜」 †
篠崎 昇平 氏
Massachusetts General Hospital,
Anesthesia, Critical Care and Pain Medicine
概要
「不老長寿に関する研究をしています」と言うと、胡散臭い研究者に思われることが多い。なので、普段は「糖尿病や動脈硬化に関する研究をしています」と言うようにしている。なぜ、胡散臭いのか?それは誰もが実現不可能だと感じているからではないだろうか。不死の実現は可能性が限りなく低いが、不老に関しては最近の研究で実現の可能性が示されている。最も古い不老不死に関する記述は、人類最初の文明とされるメソポタミア文明(ギルガメッシュ叙事詩:紀元前2000年頃)の時代から存在している。しかし、現在に至るまで“確実に”老化速度を止める方法は見つかっていない。老化減速を可能とする唯一の方法として「カロリー制限」が有効であることが知られているが、ヒトにおいても有効であることが科学的に証明されたのは、昨年のことである。本講演では、古典的な老化の学説とともに、ここ数年で急速に進展した老化の分子メカニズムについて、演者の研究する内容を加えて紹介したい。
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第169回講演会 †
日時: 2019年1月19日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E25-111
「浮世絵にはなぜ影がないのか?」 †
松浦 昇 氏
Harvard University, Reischauer Institute of Japanese Studies
東京藝術大学大学院映像研究科
概要
現在、一般的に浮世絵は日本らしい絵画の表現と認識されています。しかし江戸時代の観客の受け止め方はどちらかと言えば真逆で、西洋画の一種と思われることすらあったようです。浮世絵師は鎖国時代にありながら、オランダ経由の洋書の中にある銅版画などを参考に、遠近法や西洋的な人体表現などを取り入れていきます。しかし陰影法だけは積極的に取り入れられることはありませんでした。同時代には秋田蘭画や銅版画家の司馬江漢などの洋画家も存在しているので、影を描写する方法に関する知識がなかった訳ではありません。 一体なぜ影が描かれないのでしょうか?木版画という技法的制約?伝統的な表現から離れられなかったから?本発表では葛飾北斎や歌川国芳などの浮世絵を参考にしながら、日本と西洋の絵画の違いについて「影」という観点から比較し、浮世絵からの影の消失について考えてみます。
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「“ものさし”で測る宇宙の加速膨張 〜精密科学としての宇宙論の現状〜」 †
羽田 龍一郎 氏
Harvard-Smithsonian Center for Astrophysics
東北大学大学院理学研究科
概要
「宇宙は膨張していて、しかも加速している...」というようなことは皆さんもどこかで耳にしたことがあるかもしれません。アインシュタインの相対性理論によると、膨張の仕方は宇宙を構成する物質の組成・性質によって決められます。そのため、宇宙膨張の歴史を正確に調べることにより、「宇宙は何でできているのか?また、どのように進化してきたのか?」という問いに迫ることができます。実際、超新星爆発の明るさや銀河の3次元分布に刻まれた特徴的なスケールを「ものさし」として用いることで、宇宙の膨張率の測定が行われてきました。特に近年では、観測規模が拡大したことに加え、装置や技術、解析手法が進歩したことにより、誤差1〜2%の精度での測定が可能になっています。本講演では、この「宇宙を測るものさし」に注目し、精密科学と呼べるまでに発展した観測的宇宙論の現状を紹介したいと思います。
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(c) 2000-2019 Boston Japanese Researchers Forum
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