ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本人による、知的交流コミュニティーです。

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2004

第45回 講演会

日時: 2004年12月11日(土) 16:00-
会場:
「日本の次期月面探査計画と表面探査技術」
黒田洋司 氏
MIT, Dept. of Mechanical Engineering, Visiting Scholar
明治大学理工学部機械工学科 助教授

惑星の探査と言うと,JPL/NASAのSpirit/Oppotunityによる火星探査やCassiniによる土星探査を思い浮かべると思いますが,日本でも独自に火星や月,小惑星などに様々な探査機を送り込んでいます.中でも月は,30年も前に人が降りたっているために,もう終わったと思われがちですが,実はその成因などは殆ど解明されておらず,今再び世界中が新たな探査計画を発表しています.日本ではLUNA-AとSELENEと呼ばれる二つの計画がもう秒読み段階にあり,それに続く次期月面探査計画も実現に向けて活発に活動しています.ここではその次期月面探査計画の概要と,それに向け た表面探査技術の一部をご紹介します.web.mit.edu/kuroda

「法律のできるまで-実践!政治過程論-」
米田立子 氏
農林水産省水産庁水産経営課
Fletcher School of Law and Diplomacy, Tufts University, MALD Candidate 2005

国の政策の基本を記した法律ってどのようにできていくのでしょう?法律っていったい誰が書いてるの?議員、それとも役所?国会との関係は?法改正の作業は、まず一つ一つの単語の意味や定義を明らかにするところから始まります。例えば、今話題の森林環境保全について法律を定める場合、まず「森林」の定義とは?からスタートです。似たような「原野」や「林野」とは違うのか?違った(又は同じだった)場合、既存の政策や法律と重複したり齟齬が生じたりすることはないのか?政策の対象が違えば、関係者も変わってきます。それらの人々の利害を調整し、1本の法律ができるまでのプロセスを見てみると、日本の政策決定過程そのものが浮き彫りになります。外からはなかなか分かりにくい、そのプロセスとダイナミズムについて、法改正の経験を踏まえてご紹介します。

第44回 講演会

日時: 2004年10月9日(土) 16:00-
会場:
「不動産とその価格~鑑定評価の立場から」
猿渡達也 氏
Babson College MBA
不動産鑑定士

人生の最大の買い物といわれる不動産。その価格はどうやって決めるのでしょうか?不動産の資産評価をすることのできる不動産鑑定士という資格をご存知ですか?不動産鑑定士はどうやって評価をするのでしょうか?最近の日本でのトピックも交えながら、鑑定評価の立場から不動産の価格をどうやって求めるかを中心に、できるだけシンプルにお話したいと思います。

「数値シミュレーション – コンピュータによる現象の再現に向けて」
河野晴彦 氏
MIT, Department of Mechanical Engineering, Visiting Scholar

もし、地球上に小惑星が衝突したり核爆弾が投下されたりしたら・・・もちろん甚大な被害は容易に想像できますが、それを定性的・定量的にコンピュータで評価し得る方法が数値シミュレーションです。実際に起こる現象をコンピュータで再現できるとすれば、その利点は計り知れません。例えば、軍用エンジンの開発において数値シミュレーションを利用すると、開発期間の32%の短縮、および開発コストの50%が低減され、さらに、設計変更などの開発リスクを最小限に留めることができるとの報告があります。身近な生活でもゲームやコマーシャル、天気予報で登場するシミュレーション。今、その研究が非常に盛んに行われています。それでは、どのような研究が一体何を目指して進められているのか?今回の講演では演者の取り組んでいる「数値流体力学」を中心として、シミュレーション技術の現状を分かりやすくお伝えしたいと思います。

第43回 講演会

日時: 2004年9月4日(土) 16:00-
会場:
「効率良い触媒反応の開発を目指して-金属で結合を切る、作る」
三木康嗣 氏
MIT, Department of Chemistry

古くから触媒として知られている酵素は私たち人間を含め、動植物全体に馴染み深いですが、最近は金属を触媒として使う触媒反応の開発が進み、これらの多くが実用化されています。実際、身の回りにある医薬品(薬の製造過程に触媒反応は欠かせない)や洋服(繊維の製造も金属触媒を使う例が増えてきている)など生活必需品と呼ばれる品々、その製造過程にも多かれ少なかれ触媒反応が組み込まれています。記憶に新しい2000年度からの日本人化学者の三年連続ノーベ ル化学賞受賞の時も、金属触媒を扱う化学者(野依良治教授)が選出されました。このように最近注目を集める触媒反応、今回は身近な触媒反応から、触媒反応とノーベル化学賞の歴史、これは次のノーベル化学賞候補と言われる(個人的に思っている)ちょっとした触媒反応まで幅広く紹介したいと思います。

「eラーニング、大学教育へのインパクト…ニッポンの大学はどこへ向かうか?」
中原淳(なかはらじゅん) 氏
MIT, Center for Educational Computing Initiatives, Visiting Scholoar
独立行政法人 メディア教育開発センター 研究開発部

インターネットを活用した遠隔教育(eラーニング)が、世界の大学教育関係者に注目され始めて、はや10年以上がたちました。今では、世界中の大学がeラーニングの形式で教育プログラムの提供をはじめています。eラーニングは様々なメリットを学習者にもたらす一方で、諸問題も生み出してきました。先進地アメリカでは、高等教育システムの根幹をゆるがしかねない問題もいくつか生まれてきています。当日は、eラーニングの概略、それが大学教育に与えたインパクトについて簡単にお話しします。最後に、ニッポンの大学の事例についても紹介します。
独立行政法人 メディア教育開発センター 研究開発部 助手。専攻は教育工学。情報通信メディアを活用した教育・学習支援システムの開発と評価。小学校、高校、大学、企業まで様々なフィールドで研究を行う。 NPO法人 Educe Technologies 副代表理事。共編著に「eラーニング・マネジメント」(オーム社)、「社会人大学院へ行こう」(NHK出版)、「はじめての人材育成:ワークプレイス・ ラーニングデザイン入門」(中央経済社)など。
関連する研究Webサイトは下記のとおり。
個人Webサイト
メディア教育開発センター
NPO Educe Technologies
携帯電話と教育に関するプロジェク

第42回 講演会

日時: 2004年6月5日(土) 16:00-
会場:
「他人のポリシー/自分のポリシー:良き(悪しき?)隣人との付き合い方(法律学 の場合)」
板谷優 氏
Harvard Law School, LL.M. Candidate 2004
日本銀行

先月、マサチューセッツ州政府がGay Marriageを公に認め、州政府の発行する証明書をもとめて、多くのカップルがマサチューセッツ州にやってきました。この一件が、同性愛者の結婚に反対の立場をとる他の州や合衆国政府に大きな波紋を広げていることは皆様もよくご存知のことと思います。この問題は、自分と隣人が異なる法律制度をもっていために生じたのですが、こうしたことは、州と州との間だけでなく、国と国の間においても往々にして生じることです。では、法律学は、実際にどのような制度を用意して、こうした状況に対処してるのでしょうか。今回のセッションでは、マサチューセッツのGay Marriage問題を出発点に、隣人と付き合っていくために法律学が用意している制度(外国法の適用・外国国家行為の承 認)について考えてみたいと思います。

「遺伝子検査の現状と展望」
荻野周史 氏
ハーバード大学病理学講師
Brigham and Women’s Hospital分子診断学医師
Dana-Farber Cancer Institute分子病理学検査室ディレクター

一大センセーションを巻き起こしたヒトゲノム計画も2003年に一段落して、すでにポスト・ゲノム時代に突入しています。遺伝子検査が実際の医療に導入されてからまだ15年ですが、その間の遺伝子検査の進歩には目覚しいものがありました。遺伝子検査の現状にはまだ問題点もたくさんありますが、将来はほとんど全ての遺伝性疾患・遺伝素因についての検査が可能になり、個人の遺伝情報に基づいたオーダーメードの医療が行われるようになるでしょう。今回は日本人初の分子遺伝病理学専門認定医である荻野氏が、米国で遺伝子検査に携わってきた経験を生かして、遺伝子検査になじみのない人にもわかりやすく解説します。
略歴
93年東大医学部卒。95年渡米。99年病理科研修を、2000年分子病理学フェローシップを修了。2001年医学博士号取得、日本人初の分子診断学専門認定医。2003年日本人初の分子病理遺伝学専門認定医となる。2001年より現職。ハーバード大学の分子遺伝病理学トレーニング・プログラムと遺伝学トレーニング・プログラムの教員を兼任。現在、国際コミッティーのメンバーとして分子診断学のグローバル・ガイドラインづくりにも携わる。2004年よりハーバード大学病理学助教授の見込み。
公式ホームページ
http://labmed.bwh.harvard.edu/pathology/Faculty/Shuji_Ogino.htm
http://www.amptestdirectory.org/labdetail.asp?lab_id=181&DT=ST
http://www.dfhcc.harvard.edu/member_detail.asp?memberID=8817

第41回 講演会

日時: 2004年5月8日(土) 16:00-
会場:
「天気予報・気候予測の仕組み」
杉山昌広 氏
MIT, Program in Atmospheres, Oceans, and Climate & Technology and Policy Program

「また天気予報がはずれた!」と苛立った経験は皆さん何度もお持ちだと思いますが、では、天気予報は実際にどのようにして行われているのかと疑問に思ったことはありませんか?天気予報は日々のわれわれの生活だけではなく、冷夏や暖冬による売上不振など、国の経済問題にまでかかわってきます。ではなぜ、現代の科学技術をもってしても、次の日の天気予報が外れてしまうのでしょうか?今回の発表では天気予報、そして数年後、数十年後の地球の気候予測がどのようにして行われているのかを話します。

「MOT:技術からビジネスへの冴えたやりかた」
本橋健 氏
MIT Sloan, Management of Technology Program
NTT情報流通プラットフォーム研究所

なぜVHSはβよりも普及したの?GoogleやeBayがこんなに使われているのはなぜ?ポストイット(3M)が生まれたわけは?DELLってどこかすごいところあるの?エジソンは電球ビジネスでも強かった?ボストン発の氷ビジネスって?「なぜあなたがこの製品を使っているのか」「なぜこの技術の会社が成功したのか」という疑問にお答えするのがMOT(Management of Technology,技術経営)です。昨年から日本でブームになっているMOTは技術とビジネスの橋渡しをする方法を分析しています。ここではいくつかの事例と分析を簡単にご紹介します。

第40回 講演会

日時: 2004年4月10日(土) 15:00-
会場:
「FTA(自由貿易協定)-日・メキシコの交渉実質合意を契機に」
河合潔 氏
ハーバード大学日米関係プログラム研究員
警察庁

最近、経済関係で耳にすることが多いFTA。3月の日本の新聞の一面を飾り、また、米大統領選挙の争点の一つとも言われますが、そもそもFTAとは?と聞かれると知らない人も多いのではありませんか。なぜメキシコとやるの?WTOとの関係は?アジアとは?日本にとって何が得になるの?たちまち???がいっぱいになると思います。2年半前、貿易交渉など無関係の役所からいきなり交渉に組み込まれた私が、FTAの来し方行く末を分かりやすくお話しします。

「2015年の日本を占う」
MIT比較メディア学課程客員研究員 鷲田氏
ハーバードロースクール客員研究員 小島氏 他

10年一昔とは申しますが、最近の10年の変化には著しいものがあります。いまから10年前にパソコンが、携帯がこんなになっているとは予想できましたでしょうか?2015年の日本がどんな姿になっているのか、未来予測によるシナリオをもとに、大きな観点から2015年の社会像を予測すると共に、ボストンで研究をする各分野の専門家が、10年後の私たちの生活がどうなるのかを各々の目から未来予測します。

第39回 講演会

日時: 2004年2月7日(土) 16:00-
会場:
「フォークソングから読み解くアメリカ文化史」
舘美貴子(たちみきこ) 氏
Ph.D. candidate, Department of American Civilization, Brown University
東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程

1950~60年代のアメリカでは、大学生など中産階級の若者を中心として、フォークソングが人気を博しました。アクースティック・ギターを傍らにシンプルなメロディーと社会性のあるメッセージを奏でるフォークソングは、商業主義と均質性とを特徴とする第二次大戦後のアメリカ主流文化とそれを賞賛する親の世代に反抗する若者にとって、対抗文化の象徴でした。1960年代前半には日本にも上陸し、音楽界に大きな影響を与えました。しかし、「フォークソング」とは、そもそも民謡のことを意味し、20世紀の初頭にはその存続が危ぶまれた音楽でした。それが、いわゆる「フォーク・リヴァイヴァル」と称される一連の運動の中で大きく変容し、1960年代初頭までにはユニークなジャンルとしてその地位を確立したのでした。今回の発表では、アメリカにおけるフォークソングの興味深い歴史を辿ると同時に、「フォーク」という概念の構築と変遷の持つ歴史的な意味について考察したいと思います。

「RoboCupと夢考房: ロボット達によるもう一つのサッカーW杯と学生達によるもう一つ の大学教育」
出村公成(でむらこうせい) 氏
MIT, Dept. of Linguistic and Philosophy, Visiting Scholoar
金沢工業大学 人間情報システム研究所

1997年に人類最強のチェスプレーヤーがIBMのスーパーコンピュータに破れ人工知能研究者の長年の夢がかないました。次に研究者達が目標に掲げたのは何とサッカーなのです。RoboCupはそういう背景から生まれたロボット工学と人工知能研究の融合発展のために提唱された日本発の国際プロジェクトです。2050年までに人間のサッカーW杯優勝チームをロボットチームが破ることを目標に掲げ、97年から毎年ロボット達によるW杯並びに国際会議を開催し年々その規模が拡大しています(2002年W杯会場は福岡ドーム)。演者らの金沢工大チームは99年からW杯に参加し、昨年、今年と準優勝の成績を収めています。今回の講演ではロボカップの概要並びに今年イタリアで開催されたW杯決勝の模様をビデオを交えながら紹介します。また、準優勝の原動力となった夢考房という学生主導型の教育システムについても紹介します。なお、夢考房はNews Weekの大学特集で取り上げられ、文部科学省の教育版COEプログラムと呼ばれている「特色ある大学教育支援プログラム」に採択され、プレジデント社から本(大学は学生に何ができるか、増田晶文著)も出版されています。
http://his.kanazawa-it.ac.jp/~demura/