ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本語話者による、知的交流コミュニティーです。

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2008

第76回 講演会

日時: 2008年12月13日(土) 16:00-
会場:
「音楽学とは何だろう? ~音・楽譜・演奏~」
沼野雄司 氏
Harvard University音楽学部 visiting scholar
桐朋学園大学

「音楽学」という学問があることをご存じですか?もちろん音楽に関する学問であることは、字づらを見れば誰にでも理解できるでしょうが、具体的には どのようなことを研究するのか、イメージできる方は多くないでしょう(ハーバード大学に「音楽学専攻」があることをご存じの方も少ないのでは?)。そこで 発表の前半ではまず、音楽学が対象とする広大な領域が、実は皆さんの研究分野のすぐ隣にあること、そして我々の生活のすぐそばにあることを伝えてみたいと 思います。
そして発表の後半では、クラシック音楽の象徴といえる「楽譜」を取り上げて、様々な視点から考察を加えます。どのような経緯を 経て、現在の五線譜に到達したのか、その特徴とは何か、そもそも楽譜とは一体何のためにあるのか、「音楽作品」とは楽譜のことなのか・・・。こうした基本 的な問題について、いくつかの角度から光を当てるとともに、楽譜があるからこそ生まれる様々な解釈=演奏について、具体的な例を音で聴いていただきなが ら、一緒に考えてみたいと思います。
また、時間に余裕があれば、私なりの立場から、お子さんに音楽を学ばせる場合にとりわけ重要と思われる点について、いくつか述べておきたいと考えています。

「心臓幹細胞との出会い」
細田徹 氏
Harvard, Brigham and Women’s hospital
東京大学医学部

「心臓の筋肉細胞は、生後間もなく分裂する能力を失い、同じ細胞が絶えず収縮を繰り返しながら100年間生き続ける」と長い間信じられて来ました。 従って、この心筋細胞が死んでしまうと、それを新しい細胞で補うことは出来ず、究極的には心臓移植や人工心臓などに頼らざるを得ないと考えられていました。 ところが今から5年前、心臓にも幹細胞が存在することが初めて示され、例えば皮膚のように、心臓でも、古くなった細胞が順次新しい細 胞で置き換えられていることが明らかになりました。この発見により、生物学の定説が覆されたばかりでなく、心臓幹細胞の再生能力を利用した、全く新しい心 筋梗塞・心不全治療の可能性が見出されたのです。ES細胞の利用や臓器移植に伴う、倫理的あるいは拒絶反応などの問題も回避できる上、低コストで実施可能 なため、実現すれば正に理想的な治療法となり得ることでしょう。
今回は、心臓のことを全くご存知ない方から、幹細胞研究に取り組んでおられる方まで、幅広い層の方々に楽しんで頂けるよう、美しい顕微鏡写真の数々などを織り交ぜながら、分かりやすくお話ししたいと思っています。

第75回 講演会

日時: 2008年11月15日(土) 16:00-
会場:
「不確実性から生まれる秩序、あるいは無秩序 ~協調の経済学~」
開発壮平 氏
Ph.D. candidate, Economics, Brown University, Department of Economics
日本銀行

「三人寄れば文殊の知恵」という言葉があります。普通の人間でも三人がうまく協調すれば、相乗効果で素晴らしい知恵をもたらす可能性がある、という ことですね。ただし、この協調の効果には「三人が独自の知識・個性を持っている」という前提があります。三人のクローン人間には、知性の協調効果を期待す ることはできません。
現在主流の経済学は、人々の相互作用による協調効果をあえて考慮に入れない傾向にありました。しかし、そうした「協 調の問題」を無視することは、経済活動の正しい理解を妨げかねません。たとえば、経済活動の重要な場のひとつである「金融市場」は、建物やシステムさえ整 えれば動くというものではありません。むしろ、様々な知識・個性を持つ人々が個人の信念に従ってそれぞれ行動することで生まれる「協調的な秩序」こそが、 市場の実体であると言えます。
ただし、協調が常に良い結果をもたらすとは限りません。市場における相互作用を通じて過度に悲観的なムードが広まった結果、市場機能が崩壊する可能性もあります。現在の世界的な金融危機の原因のひとつに、この「協調の問題」があるように思われます。
今回の発表では、「不確実性」をもう一つのキーワードに、
・なぜ現在主流の経済学は「協調の問題」を避けてきたのか。
・協調の経済学という観点から、金融危機やイノベーションをどう捉えるか。
といった点についてお話したいと思います。。

「光ディスクのしくみ~CD、DVDから、Blu-ray DiscとHD-DVDの違いまで」
松尾友裕 氏
Optical Engineer, Panasonic Boston Laboratory

みなさんが必ず使ったことがあるはずの「光ディスク」。
「光ディスクって何?」と言う人も、CDやDVDは必ず使ったことがあるはずです。
その光ディスク、実はレコードのように蚊取り線香状にデータが記録されており、針の代わりに光を使って再生(記録)をするのです。
では見た目が同じ、サイズ、厚さも同じCDとDVDとでは、何が違うのでしょうか。さらには、CDは、ROM、R、RWの3種類があり、DVDにはROM、-R/RW、+R/RW、RAMがあります。違うディスクを買ってしまい使えなかった、という経験はありませんか?技術的な違いを簡単に説明しながら、何を見てディスク、プレーヤー、レコーダー、ドライブを選べばいいのかを解説していきます。
そしてCD、DVDとくると、やはり気になるBlu-ray Disc(BD)。
・BDは、なぜ必要なのか?
・CD、DVDと何が違うのか?
・BD vs HD-DVDのフォーマット(規格)争いは、なぜ起きたのか?
・規格統一は、本当にできなかったのか?
フォーマット戦争の真っ只中で、商品開発に携わってきた経験から、これらの疑問に答えていこうと思います。
技術的な話はともかく、この機会にこれらの光ディスクの違いをご理解いただき、皆様に光ディスクを、仕事や遊びにうまく活用してもらえればと思います。

第74回 講演会

日時: 2008年10月18日(土) 16:00-
会場:
「知的協創を促すためのコミュニケーション・デザイン」
菅谷明子 氏
ジャーナリスト
東京大学大学院情報学環博士課程

ネットワーキングに格好なイベントに参加したものの、なかなか見知らぬ人と話すきっかけがつかめず、結局、知り合いと話すだけで終わってしまった、 という経験はありませんか?同じ学部や部署に長い間在籍していたのに、偶然出会って話すまで、お互いに共通点が多いことを知らず、「もっと早く知り合って いれば」と思ったことは?
最近は、Facebookなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)に代表されるように、空間を 飛び越えて人と人がつながる仕組み作りが急速に広がっていますが、その一方で、同じ物理的空間にいる人たちが、対面してコミュニケーションを交わし、交流 を深めるための仕組作りは、意外と試みられていないという現状があります。
そこで、この講演では、人と人とをつなぎコミュニケーションを触発する、空間デザイン、アクティビティのデザイン、ディジタル・メディアなどの事例をご紹介し、知的協創を促すためのコミュニケーション・デザイン戦略について考えてみたいと思います。

「アメリカ医療保険の仕組み~健康保険会社の視点」
高野裕子 氏
Business Analyst, United Health Group Ingenix

「PCPって何?」「アメリカの健康保険って複雑でよく分からない」「どうしてこんなに保険料が高いの?」「保険に加入したいのだけれど、日本とぜ んぜん違うのでどれを選べば良いのか分からない」などとよく耳にします。期間が限られているアメリカ生活の中でも、アメリカの医療に関わらなくてすむ人は 限られているのではないでしょうか?
「お医者さんに見てもらいたいのだけれど、まず何をしたらいいの?」といった素朴な疑問に応えるべく、アメリカの医療保険がどう成り立っているかを、アメリカの健康保険会社で働いた経験と知識を活かして皆さんにわかり易くお伝えしたいと思います。
アメリカの保険制度を知ることで、「必要な時だけにお医者さんにかかる」という観点から、「予防策として保険を上手に利用する」といった新たな保険の概念を皆さんと一緒に考えたいと思います。
また、アメリカでSEとして働いている視点から健康保険会社で使われるソフトウェアを通して、医療情報がどのように役立っているかを紹介します。

第73回 講演会

日時: 2008年9月27日(土) 16:00-
会場:
「歯科医療の裏側 ~歯科技工士からの視点~」
斉藤真行 氏
Cusp Dental Research, Inc.

歯科技工士が歯科医療のなかで、どのような役割を担っているかご存知ですか? いままでの人生で一度も歯科医院へ通院したことのない人は少ないと思います。 そして通院したことのある人は、歯を削った後「つめもの」や「かぶせもの」を口のなかへ入れたことがあると思います。
その口の中に入ったものは、いつ?誰が?どのように?何で?製作しているのでしょう?
患者として歯科医師に接している表側ではなく、歯の型を採った後から、それらが口の中に入るまでの普段あまり目にすることのない、歯科医療の裏側について紹介させて頂きます。また、それらを踏まえて歯科治療を行う際に、知っておくべき事項についてもお話したいと思います。

「リーダーの条件と育成 ~ボストンでの経験から考える~」
柳沢幸雄 氏
東京大学大学院新領域創成科学研究科 教授
元ハーバード大学公衆衛生大学院環境健康学科 併任教授

日本とアメリカの最も歴史のある大学であるハーバード大学と東京大学での研究、教育経験をもとに、OfficerとStaffをキーワード にして、日本とアメリカの大学システムを比較する。研究の企画と実施、教育企画と実施のプロセスから、意思決定におけるOfficerとStaffの役 割、処遇を紹介する。
大学での経験をもとに、OfficerとStaffの役割の違いを明示し、意識するアメリカ社会と、名ばかり管理職が横行することからも明らかなよ うに、管理職と非管理職の間に明確な意識の差がない日本社会との間に存在する意思決定プロセスの違いを考察する。意思決定プロセスにおける実質的決定者は だれか、その権限と責任、責任への対価として給与を通じて、リーダーの条件とリーダーを育成法について考える。
要旨はこちらをご覧ください(パスワードが必要ですので、ご不明な場合は事務局までご連絡ください)

第72回 講演会

日時: 2008年4月19日(土) 16:00-
会場:
「あなたとあなたのご家族の大腸は大丈夫ですか?」
永田浩一 氏
Department of Radiology, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School

日本では近年、食生活の欧米化などに伴い、大腸癌による死亡率が年々上昇しており、平成18年の死亡数は4万余に達しています。その一方で、大腸癌 検診受診率は18%にとどまり、そのうちの精密検査が必要となった7%の方のうち、実際に精密検査を受ける率は56%にすぎません(平成15年度老人保健 事業報告)。
大腸癌診断のゴールドスタンダードは現在のところ大腸内視鏡検査であり、その診断能や安全性は確立しています。しかし、検査対象者が未受診の理由に は、自覚症状がない、苦しそう(痛そう)、恥ずかしい、前処置(検査のために腸を空にすること)が大変、時間がかかるなどが挙げられます。
近年、撮影装置・画像解析ソフト・撮影方法などの進歩により、バーチャル内視鏡と呼ばれる「大腸3D-CT検査」が目覚しく発展しています。「大腸 3D-CT検査」は内視鏡検査に迫る診断能をもちながら、患者さんの心理的負担、前処置および検査時間の軽減が可能であり、受診のハードルを下げるといわ れています。
米国でのナショナルスタディーが成功に終わり、各種学会がガイドラインへの組み込みをはじめています。日本での1000例以上の経験とMGHでの研究から、最新の大腸検査法のひとつである「大腸3D-CT検査」を皆様にご紹介します。
早期に見つければ完治する可能性が高い大腸癌のチェックをあなたとあなたとのご家族はされていますか?日頃、腸の調子が気になる方も、いたって調子のよい方も、お気軽にお越しいただき、大腸のことを考えるきっかけになれば幸いです。

「投資銀行マンのモザンビーク戦記」
小辻洋介 氏
Harvard Business School

「今アフリカでビジネスが熱いんですよ!」と言われたら、どう思われますか?
「えー、そんなのうまくいくの?ちゃんと儲かるの?」と感じられる方が大半かもしれません。
でも、実は、アフリカのような発展途上の国々でも、ビジネスの種はたくさん転がっているんです。
そして、ビジネスを通じて、発展途上国の貧困削減に取り組んでいこう、とする動きが、ビジネス界や開発援助業界で注目を集めつつあります。世界銀行 などの開発援助機関も、「貧しい人々が貧困から抜け出すためには、お金儲けの手段が必要だ。途上国の経済発展と貧困削減のためにはもっとビジネスを育てな いと!」ということを言いはじめています。
本発表では、途上国開発についてド素人だった元投資銀行マンの発表者が、去年の夏、モザンビークというアフリカの国に飛び込んで、農業ビジネスの事 業戦略構築に携わる中で、見たこと、感じたことをお話ししたいと思っています。その上で、アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどの発展途上国の貧困削減の ためにどんなことが起きなきゃいけないか、私たち一人一人がどのように関わっていけるか等をディスカッションできればいいなあと思っています。

第71回 講演会

日時: 2008年3月15日(土) 16:00-
会場:
「無痛分娩」
安田篤史 氏
Department of Anesthesia and Critical Care Massachusetts General Hospital(MGH)
帝京大学医学部附属病院麻酔科

皆様は無痛分娩に対してどのようなイメージをお持ちでしょうか?
賛成or反対?
安全or危険?
帝王切開になる可能性が高くなる?
赤ちゃんに対する影響?
といっても、そもそも無痛分娩が実際どのように行われているかをご存じない方も多いと思われます。現在無痛分娩として最も主流なのは硬膜 外麻酔法です。硬膜外麻酔というのは背中から注射して体の一部の痛みをとる麻酔ですが、けっして無痛分娩のための特殊なものではなく、腹部の手術や胸部の 手術でも全身麻酔(眠る麻酔)と合わせてよく使われています。
MGHとBrigham and Women’s Hospitalではそれぞれ毎年3000人と10000人の赤ちゃんをとりあげますが、約8割の妊婦さんが硬膜外麻酔を選択します。分娩フロアはいつも 妊婦さんの悲鳴?と赤ちゃんの泣き声と産科看護師さんたちの笑い声でにぎやかです。でも時に緊急帝王切開のためフロア全体に緊張が走ることも。今回私が麻 酔科レジデントとして上記2病院で産科麻酔研修をした経験をもとに
無痛分娩の実際
無痛分娩の問題点
日米の違い
について発表させていただきます。
皆様に無痛分娩について必要十分な情報を持っていただき、今後ご自身もしくは身内の方がご出産される時に無痛分娩を希望するかどうかの判 断の助けになればと存じます。またアメリカで無痛分娩をされる方々には、硬膜外麻酔を始めた後は痛みを我慢せず、何か問題があった時にはしっかり英語で伝 えることの重要性をお伝えしたいと思います。

「ノートPCができるまで」
垣内望 氏
MIT MediaLab
Toshiba Corp. PC company product planning group

「ノートPCの商品企画って要するに何をしているの? 」
という質問を良く受けます。
「いろいろです」
とこれまで答えてきたのですが、これでは全然伝わらないであろうことに最近気がつきました。
そこで、今回は実際に私が東芝で商品企画を担当した代表的な機種の例を用いて、商品企画という部署の人間が実際にどのような仕事をしているかをご説明します。
おそらく研究者交流会参加者のほとんどの方が使用経験があり、所有もしているノートPC。そんな身近なノートPCですが、人々の不満も絶えません。
・どうやって仕様は決まっているの?
・どうやってデザインは決まっているの?
…といった大きなところから、
・どうしてべたべたIntelやMicrosoftのシールが貼られているの?
・どうして国によって売っているものが違うの?
…といった小さなところまで、皆様の素朴な疑問が解消されますと幸いです。ノートPC作りの現場、ノートPC作りの悩みを共有して、どうしたら良いプロダクトが作れるのかを一緒に考えていきましょう。

第70回 講演会

日時: 2008年2月23日(土) 16:00-
会場:
「経済発展・貧困解消のための金融」
増島雄樹 氏
Brandeis University International Business School

バブル崩壊後の日本の銀行への公的資金の投入やアメリカ発のサブプライムローン 、金融にまつわる話題はとかく良い話がありません。「金融って本当に世の中の役に立っているの?金儲けするためだけにあるんじゃないの?」そんな疑問をお持ちの方も多いと思います。
このような悪影響は、金融サービスの提供そのものが悪いのではなく、様々な金融 機能がうまく働かなくなることによって起こります。
また、開発途上国に目を向けて見ると、日本ではあたりまえの様に受けられる金融 サービス、例えば銀行口座の開設や小口融資が受けられないために、貧困から抜け 出す糸口をつかめない人々が大勢います。
そこで今回は「金融」の持つ役割に注目して
1.金融サービスの拡充や発展によって、国全体の経済にどのような影響があるのか
2.低所得層が貧困から抜け出す手助けをするために、どのような金融サービスを提供すればいいのか
について、日本で金融機関に勤めていた時に感じたこと、また世界銀行ジャカルタ 事務所での勤務を通じた事例を紹介しつつ、皆様と一緒に考えて行きたいと思います。

「第一部:医者はこうして作られる、第二部:パキスタンでの災害医療支援」
内山伸 氏
ハーバード公衆衛生大学院

第一部 医者はこうして作られる:聖路加国際病院での初期研修医教育
4年前に医師の教育方法が改定されました。新臨床研修システム(スーパーローテ ーション)の導入です。スーパーローテーションとは、医学部を卒業し、医師国家 試験に合格してからの2~3年間で内科・外科・小児科・産婦人科・救急など主要な 科をすべて研修するというものです。それまでは医学部を卒業してすぐに医局に所 属して専門科研修(例えば循環器内科であれば初めから循環器内科の専門研修を中 心に学ぶ)を受ける医師がほとんどでした。 聖路加国際病院は研修病院としても歴史が長く、早くからスーパーローテーション を取り入れ「全科の知識を基にした専門家の育成」に力を入れてきました。 クリニックや健診、夜間救急外来で若い医者に診てもらった経験をお持ちの方も多 いと思います。でも”研修医や若い医者に診てもらっても大丈夫なの?”このような 疑問を持った方もいらっしゃるでしょう。なかなか聞けない初期研修医教育事情。 その一例として聖路加国際病院での初期研修医教育の実際を示しながら、我々の研 修医教育の取り組みをお伝えしたいと思います。
第二部 パキスタンでの災害医療支援 非常事態宣言が最近解除されたパキスタン。
政治的混乱の続く国に人々の命を脅か す災害が発生しました。2005年10月8日に阪神・淡路大震災(M7.3)の10倍のエネ ルギー、6434人の死者をはるかに超えるM7.6の地震が起こり、8万人を超える死者 がでました。インド・パキスタン紛争等の影響でなかなか復興活動が進まない中、 我々は2006年3月に医療支援のためパキスタンに向かいました。日本を出て24時間 。現地は想像を絶する被害で、約半年が経過しているとは思えない復興状況でした 。メディアでは報道されない医療支援の現場をお伝えします。

第69回 講演会

日時: 2008年1月26日(土) 16:00-
会場:
「ナノテクって何なの? ~大きさの観点から考えるナノテクノロジー~」
桑原孝介 氏
Department of Materials Science and Engineering, MIT
日立製作所 材料研究所

ナノテクノロジー(ナノテク)はバイオテクノロジー、IT(情報技術)などと 並び科学技術の先端的な一分野としてここ10年ほどで大きく取り上げられ るようになりました。しかし、その一方でテレビや雑誌の企業広告、はたまた 新聞やニュースの技術解説でも「ナノテクを使って開発した」と言う抽象的な表 現にとどまる事も多いのも実情です。 今回はそんなナノテクノロジーを下の3つのセクションに分けて、簡単なトピックを 織り交ぜながら紹介してみようと思います。
1、「ナノ」って何なの:「ナノ」と言う大きさを考える
2、「ナノテク」って何なの:「小さい」世界を見る、作る
3、「ナノテク」ってどうなの:「小さい」世界が変える「大きな」世界
今回の発表では専門的な内容よりは身近な素材を使って、厳密性を少し犠牲にしても 簡明にご紹介することを狙います。皆様それぞれの研究につながる部分が 少しでも見つけられれば幸甚ですが、直接の関連が無くてもニュースなどを見る際の 理解の一助となれば良いかと思います。あまり肩のこらない発表にしよう と考えていますのでどうぞお気軽にお越し下さい。

「アメリカの公共放送とVisual Communicationの話」
横山智子 氏
WGBH Educational Foundation(公共放送局)
グラフィックデザイナー

WGBH(ボストンの公共放送局)では950人のスタッフが働いています。
放送局勤務というと、女子アナ、プロデューサー、カメラマン・・・?
それでは女子アナ、プロデューサー、カメラマン以外の残り900人以上の スタッフは毎日一体何をしているのでしょうか?
私の仕事であるBranding + Visual Communicationを例に、アメリカの グラフィックデザイナーはどんな教育を受け、その技能を生かして、 会社でどのような役割を果たしているのかをお話しながら、ファンドレイジング やイベント企画、アウトリーチ活動といった、テレビには映らない多種多様な 放送局の活動の一部を紹介したいと思います。
アメリカの公共放送局の成り立ち、仕組み、存在意義、そして番組の紹介など もしたいと思っています。アメリカの公共放送をもっと身近に感じていただき、 研究者の方々と、そして一緒にボストンにいらっしゃったご家族が、これまで 以上にテレビ、ラジオ放送を楽しみながら、これからのアメリカ生活により馴染 んでいただくきっかけになればと思います。