ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本人による、知的交流コミュニティーです。

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2010

第94回 講演会

日時: 2010月12月18日(土) 16:00-18:30
会場: MIT E51-149
「卵子・精子とそれを用いたバイオテクノロジー」
遠藤墾 氏
Postdoctoral Associate, David Page Laboratory, Whitehead Institute for Biomedical Research, Massachusetts Institute of Technology

卵子と精子は、私達の体内に備わっている、生命を次世代に繋ぐことのできる唯一の細胞です。
今日では「妊娠可能年齢にあるカップルの約15%は不妊」といわれており、卵子や精子を用いた試験管ベイビーなどの不妊治療技術の重要性が高まっています。また、クローン動物や遺伝子組み換え動物をはじめとし、万能細胞と言われるiPS細胞に至るまで、バイオテクノロジー技術には卵子と精子が深く関わっています。
卵子・精子を用いた不妊治療やバイオテクノロジー技術の進展には、これまで日本が多大な貢献をしています。私は学部・大学院過程を通して現在に至るまで、不妊治療やクローン動物の作成を行う応用的研究から、卵子、そして精子そのものの機能を探る基礎的研究へと分野を変えてきました。皆様には、卵子・精子の神秘とそれを用いたバイオテクノロジーについて、私が身近に感じてきた経験を踏まえ、ささやかながらご紹介できればと思っております。

第一講演
「ベンチャーキャピタルとかカーシェアリングとかアメリカでの就職活動とか」
古賀洋吉 氏
Globespan Capital Parnters ディレクター 兼 Zipcar グローバル戦略アドバイザー
ブログ: 愛の日記 @ ボストン

ボストンは学生都市であり、ボストンにいる日本人はほぼ全員が学生や研究者です。しかし、私のように社会人として働くマイノリティも生息しています。
私は「ベンチャーキャピタル」というベンチャー企業を育てる金融の会社と、「カーシェアリング」という時間単位で車を貸し出すベンチャーの仕事を兼務しています。馴染みのない方も多いと思いますので、まずはこの二つの業界について簡単に紹介します。あまりむずかしい話はしません。
それから、私のアメリカでの就職についてお話します。ハーバードの経営大学院を2008年に卒業してから、今の仕事にいたるまでの道のりや、その間に感じたことなどをお話します。
研究者交流会幹事の方より、トピック指定なしで「面白い講演をしてくれ」という今年一番の無茶ぶりをされたので、心の赴くままに話そうと思います。

第二講演

第93回 講演会

日時: 2010月11月20日(土) 16:00-18:30
会場: MIT E51-325
「HIV/AIDS—最近の抗HIV/AIDS薬開発の進歩と今後の展望—」
こう康博 氏
Yasuhiro Koh, MD, PhD
Postdoctoral Research Fellow, Department of Cancer Immunology and AIDS, Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School

HIV(human immunodeficiency virus;ヒト免疫不全ウイルス)感染症、HIVによって引き起こされるAIDS(acquired immunodeficiency syndrome;後天性免疫不全症候群)に対する治療は抗HIV薬の開発、複数の作用機序の抗HIV剤を組み合わせた多剤併用療法(HAART;highly active antiretroviral therapy)によって飛躍的に改善、AIDSによる死亡者の減少は少なくとも先進工業国で認められております。
現在、臨床で利用できる抗HIV薬は20種類を超え、服薬が簡便な薬剤、副作用が軽微な薬剤、薬剤耐性HIVに対しても高い活性を発揮する薬剤が複数認められておりますが、現在の抗HIV薬はHIV複製を抑制するもののHIVを生体から排除することはできず、今後も新規抗HIV薬の開発、進化が重要であることはいうまでもないと考えます。
本講演では、HIV感染症、AIDSの病態から、最近の治療薬開発の進歩、今後の治療戦略の展望について、私がこれまで日本、ボストンで行ってまいりました抗HIV薬開発の経験もあわせて、簡潔にお話ししたいと思います。
毎年12月1日は世界エイズデーです。これを機会に医療従事者の方々だけでなく、幅広い分野の方々にHIV/AIDSに興味を持って頂ければ幸いです。

第一講演
「日本製コンテンツ 海外展開の現状と課題」
吉田真太 氏
MBA Candidate, MIT Sloan School of Management

『ポケモン』や『遊戯王』などの日本のアニメ番組やゲームが、ここアメリカでも子どもたちの人気を得ていることをご存じの方は多いと思います。2010年6月には、アニメ番組など「コンテンツ」を含む文化産業の海外進出促進のため、経済産業省がクール・ジャパン室を設置しました。輸出産業としての日本製コンテンツは、果たして、現在どのような状況にあるのでしょうか?
また、今後に向けてどのような課題を抱えているのでしょうか?
この講演では、日本製コンテンツの海外展開の現状と課題について、皆様にマクロおよびミクロの両面から理解を深めていただければと考えています。
マクロ面からは、コンテンツ国際取引の経済規模や主要国のシェアを概観し、世界のコンテンツ産業における日本の立ち位置を確認します。また、日本の他産業との比較を通じ、輸出産業としてのコンテンツ産業が日本にとって持つ意味合いを検討します。
ミクロ面からは、幾つかの事例を取り上げて国際取引の実務を紹介します。日本の参考事例として、劇場用映画とアニメ番組について、海外ライセンス契約や国際共同製作などの類型を説明します。併せて、アメリカの事例にも触れ、両国に見られる違いを紹介します。
芝居の舞台裏を覗くことは、ともすると興醒めな経験かも知れません。一方、ビジネスとしてのエンターテイメントには、表舞台とは異なる面白さがあります。海外展開を切り口として、コンテンツ産業の魅力をお伝えできれば幸いです。

第二講演

第92回 講演会

日時: 2010月10月16日(土) 16:00-18:30
会場: MIT E51-315
「持続可能な社会 ー核融合の可能性ー」
荒井慧悟 氏
Graduate Teaching Assistant, Department of Physics, Massachusetts Institute of Technology

「持続可能な社会」
これを実現するにあたって避けて通れないのはエネルギー問題です。石油資源などの枯渇が懸念されるなか、現在は様々な形態のエネルギー源が研究されています。そんな次世代を担うエネルギー源の一つとして核融合の研究が始まり、今年ですでに55年目を迎えました。
核融合とは、太陽の中で行われている軽い原子核どうしの反応です。太陽で作られたエネルギーは地球に光として届きます。太陽光発電はもちろんのこと、水力発電も元は太陽の力によるものです。石油に変化した太古の生物でさえ太陽に頼って生きていたことがわかります。このように、現在利用されているほぼ全てのエネルギーが太陽起源であることを考えると、太陽はいかに多くのエネルギーを提供しているかがわかります。そこで私たちは地球上に小さな太陽を作ろうと考えたのです。これが核融合発電です。
本講演では、まず持続可能な社会についてエネルギー問題の現状を考察します。それを解決する手段として核融合発電を提案します。次に、太陽で起こっている核融合反応を調べた後に、それを地球上でどのように再現するのかをご説明します。最後に、核融合研究の最前線をご紹介し、この技術が成功した場合に私たちの生活や世界の経済がどのように変わるのかを考えたいと思います。

第一講演
「音声・聴覚 人工内耳・バイリンガル (第2言語学習)」
久木身和子 氏
Miwako Hisagi, PhD, Research Scientist, Speech Communication Group, Research Laboratory of Electronics, Massachusetts Institute of Technology

「どうして耳を大切にしなくちゃいけないの?」
「話す・聞くってどういうこと?」
近年、電車の中で聞くIPODの音量などがトラブルの要因になることもありますが、自分が適切と思う音量は本当に適切なのでしょうか?もしかすると、知らないうちに、耳を悪くする使い方をしているかもしれません。事実、耳への負担の障害は、10年後・20年後に出る可能性があるので、日常ではなかなか気がつかないことが多いのです。
そもそも、私たちが「話す」「聞く」或いは「話すことができる」「聞くことができる」とは具体的にどのようなことを示すのでしょうか?また音量の問題だけでなく、「Aさんの英語は聞きやすいけど、Bさんの英語は分かりにくい」など、聞こえ方にも違いがあるのはなぜなのでしょう?
今回の講演では、「人工内耳とはどういうものか」ということに焦点を当てながら私たちが普段当たり前のように日常「話したり」「聞いたり」している行為がいかに大切かということをお話ししたいと思っています。
補聴器の歴史に比べると人工内耳の歴史はまだ日が浅く、いまだその実態を知らない方も少なくないでしょう。人工内耳の本格的実験は1950年代に始まり、1970年前後に最初の人工内耳の実用化、1980年代に商品化され、以後年々高機能の人工内耳が開発され続けています。
人工内耳の患者さんとバイリンガルの事例をもとに、「話す」「聞く」という行為について考え、「話すことができる」が「聞くことができる」に密接につながっていることをわかりやすくお話したいと思います。

第二講演

第91回 基調講演会

日時: 2010年9月25日(土) 16:00-18:30
会場: MIT E51-315
「Creating a Culture of Safety in the Healthcare Setting (医療における安全文化の構築)」
佐藤隆巧 氏
Chief Medical Officer
CRICO/Risk Management Foundation of the Harvard Medical Institutions, Inc.
Assistant Professor of Medicine, Harvard Medical School

(講演は英語にて行いますが、質疑応答は日本語でも対応して下さいます。)
Abstract: In order to successfully implement a culture of safety, one needs to understand the contributing factors to medical errors and adverse events. In other words, seeing the overall landscape of the organization you are trying to change with an eye towards breaking down its components is the key to changing its culture. This presentation will attempt to break down a particular event into various components to demonstrate that there are multiple factors including systems and organizational issues in addition to individual human performance issues that contributes to the overall quality and outcome of medical care.
Goals:
Understanding what components make up a medical error
Understanding what our systems issues versus individual issues
Understanding Individual projects do not change the culture
Understanding that changing culture is a long-term process

医療における安全文化を構築するためには、医療過誤や有害事象の発生に寄与する要因を理解する必要がある。換言すれば、変化を起こそうとしている組織を、要素ごとに分解してゆく視点で全体を俯瞰することが、組織文化を変えるための鍵となる。本講演では、具体的事例を様々な構成要素に分解することで、個々人の能力の問題だけでなく、システムや組織の問題といった様々なファクターが、医療の質やアウトカムに寄与していることを示す。
本講演は、以下の点に関する理解を深めることを目的とする:
– 医療過誤の原因となる要素は何か
– 個人の問題に対して、システムの問題とは何か
– 個人による取り組みだけでは文化を変え得ないこと
– 文化を変えるということは長期的なプロセスである

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「インターネットによる医療紛争に関する意識調査」
我妻学 氏
Visiting Fellow, Petrie-Flom Center, Harvard Law School
Fulbright Research Fellow
首都大学東京法科大学院教授

アメリカだけではなく、日本においても、医療事故や医療訴訟がマスコミで取り上げられています。患者およびその家族と医師あるいは看護師などの医療従事者との関係も希薄になっているように思われます。
患者と医療従事者との間で紛争が生じた場合には、当事者間の直接交渉かあるいは、民事裁判を提起して、法的救済を求めることしかできません。当事者間の直接交渉では、手続の透明性、公正が必ずしも保障されていません。裁判は、原告と被告という対立構造をとり、あくまでも金銭による賠償しか認められていません。このため、患者およびその家族が医療紛争の原因解明、医師・医療機関による説明・情報の提供、患者と医師・医療機関の信頼関係の修復、再発の防止などを望んでいてもそれらの期待に応えることは制度上困難です。
そこで、医療紛争の新たな解決の仕組みを構築する必要がありますが、そのためには、患者からの視点だけではなく、実際に医療現場で種々の医療紛争に直面している医療従事者の認識がどのようなものであるかを組織的に分析する必要があります。
今回の報告では、2009年にインターネットで医師に対して行いました医療紛争に関する意識調査の結果の概要を発表し、皆さんからのご意見をいただければと思います。医療従事者の方だけではなく、その他幅広い分野の方のご参加をいただければ幸いです。

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第90回 講演会

日時: 2010年5月8日(土)
会場: MIT E51-315
「鉄~用途・製法・その魅力~」
渡辺祐 氏
新日本製鐵株式会社
Visiting Scientist, Dept of Material Science and Engineering, MIT

皆様は「鉄」と聞いてどんな言葉が思い浮かびますか?
「磁石につく」「錆びる」「重い」など性質に関する言葉、「鉄筋」「鉄道」「日本刀」など用途に関する言葉、はたまた「産業の米」「華麗なる一族」「高炉」など、その他の言葉を思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。
かつて「鉄は国家なり」と日本の基幹産業に位置づけられた鉄鋼業が、「成熟産業」と呼ばれるようになって久しくなります。しかし、鉄鋼材料や鉄鋼業の実態については意外に知られていないのではないでしょうか。
今回の講演では、製鉄現場のエンジニアにより、最新技術や実例を交えながら、鉄の用途・製法の紹介を行います。本講演を通じ、鉄の魅力の一端なりとも感じていただければ幸いです。
●鉄鋼材料の用途
– 構造材料
– 道具・工具
– 容器
– その他
●鉄鋼材料の製法
– 原料
– 高炉-転炉法による一貫製鉄

第一講演
「どうしてクスリはやめられないの?ーアルコール・薬物依存の脳内メカニズムー」
嶋本晶子 氏
元 山口大学大学院医学系研究科 法医・生体侵襲解析医学分野 助教
現 Postdoctoral Associate, Psychology Dept., Tufts University

私たちが日頃たしなむお酒は、適度であれば緊張をときほぐし、会話をはずませる潤滑油にもなります。でも、自分で酒量をコントロール出来なくなったり、毎日浴びるようにお酒を飲んでしまうような状態が続くと、やがてお酒なしでは生活出来なくなり、生活そのものがお酒にコントロールされるようになります。お酒と同様に、いわゆるコカインや覚醒剤といった、精神作用の強い薬物(向精神薬)も、いったん依存状態に陥ると回復するのが大変困難で、こういった現状から、アメリカのみならず日本でも、アルコール・薬物依存は大きな社会問題となっています。
お酒も向精神薬も、依存に陥る原因は、本人の意志の弱さではなく、脳の機能的変化によるものです。いわば、私たちが英単語を覚えようと繰り返しそれを唱えて頭に入れるとその単語が記憶できるように、脳は繰り返し体に入ってくるアルコールや向精神薬に適応しようとしているのです。
本講演では、日米におけるアルコール・薬物依存の現状と、依存が形成される過程、そして依存に陥る脳内メカニズムについて、シンプルに説明していきたいと思います。

第二講演

第89回 講演会

日時: 2010月4月24日(土) 16:00-19:00
会場: MIT E51-345
「その時防衛庁・自衛隊は動いた/911事件への対応」
香田洋二 氏
元海上自衛隊海将・第36代自衛艦隊司令官
Senior Research Fellow, Harvard University Asia Center
中辻綾太 氏
防衛省大臣官房秘書課付
MPP Candidate, 2010, Harvard Kennedy School

ワールドトレードセンターの崩壊、アメリカ国防総省への攻撃。2001年9月11日のアメリカ同時多発テロは一瞬にして世界を大きく変えた。アメリカがアフガニスタンのアルカイダへの攻撃を開始する一方、日本の防衛庁(現防衛省)・自衛隊も「テロとの闘い」への協力を開始した。
今回は防衛庁・自衛隊の9.11事件への対応について、主に香田の体験を基にお話しさせて頂きたいと思います。その際、文官として後に新テロ対策特措法の起案に関わった中辻の視点との比較を通じて、防衛庁・自衛隊内部における自衛官と文官の視点・役割の違いについても明らかにできたらと思っております。当日お話させて頂く具体的な内容は以下の通りです。
・9.11直後の動き
– 香田の米国からの緊急帰国
– 東京(防衛庁・自衛隊)の動き
-「テロとの闘い」に対する協力内容の検討
- 空母キティホークの出港
- テロ対策特措法の制定過程
・海上自衛隊・航空自衛隊部隊の動き
・派遣隊員の心情
・マスコミ報道について

第一講演1 第一講演2
「水虫と日本人―清潔と恥をめぐる日米比較から―」
眞嶋亜有 氏
Postdoctoral Fellow, Reischauer Institute of Japanese Studies, Harvard University 2008-2009
Associate, Dept of Anthropology, Harvard University 2009-2010
専門分野:近現代日本社会文化史、心性史、身体文化論、比較文化論
研究テーマ:日本の「西洋化」の諸問題(人種意識と西洋コンプレックスの構造など)
ウェブサイト:http://www.renaissance-yes.com/request/2008/01/post.html

「恥」は、ルース・ベネディクトの『菊と刀―日本文化の型―』(1946年)以来、日本文化論の古典的テーマとされてきました。しかし彼女の著作は、抽象論に過ぎず時代遅れな日本文化論として北米の学界では軽視されがちです。けれども、本当にそう言いきれるのでしょうか?なぜ、日本のトイレには、「音姫」(TOTO)が必要なのでしょうか?そしてなぜ、日本では、「水虫」を恥ずかしいものと感じる人が少なくないのでしょうか?
かつて「おやじ」の代名詞であった水虫は、今や女性の約三人に一人が罹ったことがあるとされ(ロート製薬)、現代日本における水虫は老若男女、職業階層問わず蔓延しているようです。こんなにも多くの日本人の足に生えるカビ。しかし日本人は世界に名だたる清潔好きではなかったでしょうか?
加えて、日本における水虫の特徴の一つが、「一度かかったら治らない」という難治性です。これまでの調査では、東アジア・アラブ圏・欧州・北米において「水虫」はあるけれども、日本ほど、スティグマ化されている国は見受けられません。要するに、逆欠如理論的発想で考えれば、世界に「水虫」はあるけれども、「水虫問題」はないと考えられます。
本講演では、「水虫」の日米比較から、清潔概念や恥意識、そして明治以降の「西洋化」をめぐる歴史的プロセスなど、日本文化論としての「水虫問題」を考えていきたいと思います。春の訪れとともに水虫もうずく季節。春うららかなボストンで、医学関係の方々はじめ、海外経験の豊富な皆さまから御示唆を頂ければ光栄です。
※参照:拙論「水虫―近現代日本の栄光とその痕跡 ―」(園田英弘編『逆欠如の日本生活文化―日本にあるものは世界にあるか―』思文閣出版、2005年)

第二講演

第88回 講演会

日時: 2010年3月27日(土) 16:00-18:30
会場: MIT E51-345
「カメラの未来像と拡張現実感」
鈴木正樹 氏
キヤノン株式会社
MIT Media Lab, Camera Culture Group
冨手要 氏
キヤノン株式会社
MIT Media Lab, Cognitive Machines Group

皆 さんは、新しいカメラを購入する時、何を判断材料にしていますか?価格?確かに安い方が良いですね。でも、「もう少し高級な高いカメラを購入すると、画素数が飛躍的に向上する」と言われたら?。。。う~ ん、迷いますね。
このように、価格と画素数は、カメラを購入する時の大きな判断材料です。
さらに、最近は人が笑顔になったら自動的に撮影する機能や、人の顔を認識して美しく仕上げる機能の有無なども気になる所のようです。
では、今後、どのような機能が登場するのでしょうか?
今回は、坊主頭の鈴木からMIT MediaLabで研究されているカメラの最新動向を紹介しながら、 カメラの未来像についてお話ししたいと思います。
次に、皆さんは、『AR:Augmented Reality(拡張現実感)』という単語をご存じでしょうか?
これは、『VR:Virtual Reality』という単語の親戚のような単語で、2007年にNHK教育テレビが放送したアニメ『電脳コイル』、iPhoneの『セカイカメラ』、『電脳フィギュアアリス ARis』とったアプリケーション等で、瞬く間に世間に知れ渡った技術です。
でも実は、この技術、遡ること15年も前から日本で研究が 始まっており、日本が世界の最先端を行く技術の1つになっています。そんなARの 技術も、皆さんが目にするモノはほんのごく一部分でしかありません。
そこで、今回は、15年前からARの研究開発を始め、世界的にもARの業界をリードしている キヤノンが今後どのような未来を切り開いて行こうとしているかを冨手がご紹介したいと思っています。

第一講演1 第一講演2
「途上国のコ ミュニティ開発・貧困削減 -インド・イエメンでの経験から-」
園田亜矢 氏
The Fletcher School of Law and Diplomacy, Tufts University

国際協力、開発援助、途 上国支援-このような言葉を聞いて持つ印象は「ちょっ と興味がある」と言う方から「なんだか胡散 臭い」と感じる方まで、それぞれだと思います。
第二次世界大戦後の植 民地解放から、地球規模の貧困や不平等を解消す ることを目標に援助の歴史は始まりました。 それから60年以上、 膨大なお金、資源、時間が費やされたにもかかわらず、なかな か目標は実現されません。むしろ援助が逆に途上国社会に悪影 響を与えてしまったという事例も残念ながら数知れずあ ります。どうしてこうなってしまうのでしょう?
これまで6年間援助の仕事に携わりまし た。インドのユニセフオフィスでは、現 地NGOとと もに農村の生活改善・貧困削減プロジェクトを実施しました。イエメンでは日本政府(JICA) が支援する女子初等教育促進プロジェクトに携わりました。どちらも、援助を直接農村部の貧困層に届けるこ とに主眼を置いたプロジェクトでした。
援助の現場で感じたのは現地の ニーズと実際の援助政策の乖離です。貧困層にき ちんと届くプロジェクトがあまりない。そし て本当に途上国の役に立つプロジェクトになっていない。その理由は政 治的であったり、組織的問題であったり、事情は 複雑です。
今回の発表では、国際援助の歴史をマクロの視点で振り返り、現 場で感じた問題点や援助当事者として のジレンマを皆さんと共有し、私なりの改善策を議論させていただきたいと思っています。

第二講演

第87回 講演会

日時: 2010年2月27日(土) 16:00-19:00
会場: MIT 32-155
「虎穴に入らずんば虎子を得ず ~ リスクのある環境下での最適な行動計画」
小野雅裕 氏
MIT 航空宇宙工学科博士課程/技術政策プログラム修士課程

昨今、「リスク」や「不確定性」という言葉を頻繁に耳にします。例えば先日に日米線の航空機が乱気流に巻き込まれた事故。例えば尼崎の列車事故。例えばリーマンショック。未来の現象が予測不可能でリスクを伴う場合に、私たちはいかなる行動を取ればよいのでしょうか?リスクを取らずに家に引き篭もっていては、何もすることは出来ません。しかし一方で、無制限にリスクを取ることも好ましくありません。本講演では、不確定性のある環境下で、リスクを一定値以下に抑制した上で効用(リターン、利益)を最大化するように、行動をコンピューターによって最適に計画する手法を紹介します。この手法は、飛行機の自動操縦、建物の自動空調制御や、スマート・グリッド(賢い送網)、金融工学など、様々な応用の可能性があります。数学的な議論は一切省き、直感的な説明を行うことで、幅広いバックグラウンドの方に講演を楽しんでいただけるようにしたいと思います。

「科学的未解明現象の中に見る次なるフロンティア」
山口征浩 氏
MIT Advanced Study Program

世の中には科学的に解明されていない様々な現象が今だ多く存在します。気功治療や経絡など古くから実用的に使われてはいるが原理がよくわかっていないもの。未来予知や遠隔透視など、テレビの番組ではいろんな人が現れます。もしかしたら存在するかもしれないし、存在しないかもしれない。そんな現象の中に新しい世界を切り開く種が隠れているかもしれません。
現象や研究の事例を 紹介しながら、皆さんと一緒に新しい可能性を模索できれば幸いです。

「」
倉本由香利 氏
McKinsey & Company
MIT Sloan MBA Candidate

日本の製造業は、1970~80年代にかけて、人々がわくわくする・品質の高い製品を次々に世の中に出し、高いシェアを築いてました。 JVCのVHSビデオ、ソニーのポータブルラジオ、ウォークマン、トリニトロンテレビ、ホンダの数々の若者向けバイク、カップラーメン・・・。企業向けも、NECの半導体からキヤノンの半導体装置まで。
ところが1990年後半以降、日本企業からは世界中を魅了するような製品がずっと出ておらず、数 々の分野でシェアを失ってます。昔は強かった製品も「コモディティ」化してしまい、儲からなくなっています。どうしちゃったんでしょ うね?日本。
実はこれって、日本に限らず、世界中の大企業が直面する問題なんです。それも、現在の顧客に対して忠実に答え、利益率を上げるような判断をするほど、イノベーションが遅れ、最終的に市場を失ってしまう-この現象はイノベーションのジレンマと呼ばれています。いわば、大企業がかかる病気です。この大企業病に大しては、予防方法がいろいろ議論されてます。でも実際に大企業が気付いて動き始めるのは、かなり末期になってからのことが多く、実はこの予防方法は効かないことが多いんです。
この講演では、このジレンマにより深くメスを入れることで、既にジレンマに足を踏み込んでしまった企 業が、どう変革していけば、克服できるのかについて、事例を踏まえながら議論し、日本企業が再生するヒントを提示したいと 思います。日本の製造業は、1970~80年代にかけて、人々がわくわくする・品質の高い製品を次々に世の中に出し、高いシェアを築いてました。 JVCのVHSビデオ、ソニーのポータブルラジオ、ウォークマン、トリニトロンテレビ、ホンダの数々の若者向けバイク、カップラーメン・・・。企業向けも、NECの半導体からキヤノンの半導体装置まで。
ところが1990年後半以降、日本企業からは世界中を魅了するような製品がずっと出ておらず、数 々の分野でシェアを失ってます。昔は強かった製品も「コモディティ」化してしまい、儲からなくなっています。どうしちゃったんでしょ うね?日本。
実はこれって、日本に限らず、世界中の大企業が直面する問題なんです。それも、現在の顧客に対して忠実に答え、利益率を上げるような判断をするほど、イノベーションが遅れ、最終的に市場を失ってしまう-この現象はイノベーションのジレンマと呼ばれています。いわば、大企業がかかる病気です。この大企業病に大しては、予防方法がいろいろ議論されてます。でも実際に大企業が気付いて動き始めるのは、かなり末期になってからのことが多く、実はこの予防方法は効かないことが多いんです。
この講演では、このジレンマにより深くメスを入れることで、既にジレンマに足を踏み込んでしまった企 業が、どう変革していけば、克服できるのかについて、事例を踏まえながら議論し、日本企業が再生するヒントを提示したいと 思います。

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第86回 講演会

日時: 2010年1月30日(土) 16:00-
会場: MIT 32-144
「脳卒中治療薬の現状と展望~アカデミアの研究者が出来ること・製薬企業の研究者が出来ること ~」
荒井健 氏 (薬学博士)
Instructor, Harvard Medical School
Assistant Neuroscientist, Massachusetts General Hospital
(元 武田薬品工業株式会社 研究員)
http://www.linkedin.com/in/kenarai

病気を治療するためには、実に多くの人の助けが必要となってきます。しかし、「医薬品を創る」という役割を担っている人たちの活動内容は、あまり表には出てきていません。
私は薬学部を卒業した後、大学および製薬企業で脳卒中の治療薬を創るための研究をしてきました。今回の発表では、脳卒中という病気の説明とともに、薬学系の研究者がどのように病気の治療に貢献できるかを紹介します。

「学校の先生って何者!?」
杉山淑美 氏
Boston Higashi School

皆さんにとって、学校の先生とはどんな存在でしたか?
学校生活を思い出すときに、あの先生は面白かったとか、あの先生は特徴的だった、あの先生は嫌いだったなど、先生についていろいろと思い出すことでしょう。
「先生」と一口にいっても、いろいろなキャラクターを持った人たちがいます。しかし、そこには共通していることがあります。先生と呼ばれる人たちは、教員免許を持って教壇に立ち、日々生徒児童と時間を共にしているということです。では、その先生(教員)と呼ばれる人たちは、どんなことを日々考え、仕事をしているのでしょう。皆さんが触れた先生たちの裏側を少しのぞいてみませんか?
近年では、先生の不祥事など学校関連、教育関連のニュースが飛び交っています。その中で先生の立場や仕事内容も多様化してきています。
今回は、私の実体験を中心に、どのようにして教員になるのか、教員の仕事とはどんなものなのか、そして学校の先生とはどんなことを考え、どんなことを思い教壇に立っているのかをみなさんに知ってもらえたらと思っています。
親類以外で最初に出会う大人が先生です。一番身近にいそうで、いろいろと知らないことが多い教員という仕事が少しでも身近になってもらえたらうれしいです。
また、みなさんと一緒にこれからの教育と教員像について考えられることを楽しみしています。

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