ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本人による、知的交流コミュニティーです。

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2013

第122回 講演会

日時: 2013年12月14日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-325
「つながる人・モノ・場所 〜インターネット技術の歴史とこれからの発展〜」
澤田暖 氏
M.S. Candidate, MIT Media Lab

インターネット、またその関連技術は我々の生活にとって必要不可欠なものになりました。情報を検索することはもちろん、日常品の買い物やチケットの予約、友達とのコミュニケーションなど、インターネットは日常を限りなく便利にするプラットフォームとして普及しています。また、インターネット関連のビジネスでは、革新的な技術やサービスを展開する小規模のベンチャーが、人々の生活を劇的に変え、多額の利益を生み出しています。この講演では、そんなインターネット技術の歴史、現代のトレンド、そして今後の方向性を、MIT Media Labでの研究と絡めながらご紹介します。

第一講演
「シリアで何が起きているのか?」
溝渕正季 氏
Ernest May Fellow in History and Policy, Belfer Center for Science and International Affairs, Harvard Kennedy School

2011年3月、いわゆる「アラブの春」のうねりの中で、東アラブの権威主義国家シリアにおいても市民による抗議運動が発生しました。当初は「自由」や「民主主義」を求める非暴力の抗議デモとして始まったシリアの騒擾は、しかしながら、その発生から1年も経ないうちに、双方向的な暴力と激しい憎悪が渦巻く内戦状態へとその姿を変えます。その後、状況は悪化の一途を辿り、2013年11月現在、犠牲者総数は12万人を超え、200万人以上が周辺国に逃れ、400万人以上がシリア国内で避難民になっているといいます。シリアの総人口がおよそ2,100万人であることを考えると、実に国民の3人に1人が住む場所を追われた計算になります。他方で、こうしたシリア情勢やその政治的背景に関して、「よく分からない」「難しい」と言った声をしばしば耳にします。たしかに、メディア等では様々な情報が溢れておりますが、実際のところ、「誰と誰が」「何をめぐって」「どのように対立しているか」という点に関して、きちんと理解している方は少ないのではないでしょうか。そこで本講演では、深刻化するシリア危機の背景や現状に関して、講演者自身の現地調査経験などを踏まえながら分かりやすく読み解いていきたいと思います。

第二講演

第121回 講演会

日時: 2013年11月23日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-325
「アメリカをいかに理解し、どのように付き合うか-歴史からの考察」
三牧聖子 氏
Harvard University, Weatherhead Center for International Affairs, Academic Associate, Program on US-Japan Relations
日本学術振興会特別研究員PD(早稲田大学アジア太平洋研究科)

アメリカ外交には一貫性がなく、まるでSpecial Providence(神の恩寵)頼みだ-これは19世紀ドイツの宰相ビスマルクの言葉です。確かに、アメリカ外交は多様な側面を持ち、掴みどころがないようにも感じます。自国を権力政治にまみれた世界における「例外」と位置づけ、道徳的な世界の実現を追求する「理想主義」的な一面を見せたと思えば、圧倒的な軍事力にものをいわせて国益を追求する「現実主義」外交を遂行してきました。他国の戦争に巻き込まれまいとする「孤立主義」の長い伝統を持つ一方で、アメリカの使命は世界に民主主義を広めることだとして、政策的合理性を超える規模の過剰な介入を幾度も行ってきました。
20世紀転換期、日米両国は国際社会に本格的に参入します。以降日本は、複雑な諸相を見せるアメリカ外交の理解に苦労し、アメリカといかに付き合うべきかという問いと格闘してきました。報告では、その中で生み出された多様なアメリカ観を紹介しながら、協調から最終的に戦争へと至る日米関係の歴史を概観したいと思います。その考察が、今後私たちがアメリカという国といかに向き合うかについて、何かの手がかりになれば幸いです。

第一講演
「宇宙にガソリンスタンドは必要か」
石松拓人 氏
Postdoctoral Associate, MIT Engineering Systems Division

スペースシャトル計画が終了し、有人宇宙探査は新時代に突入しました。現在NASAは、2030年代後半に人類初の火星着陸を果たすことを当面の最終目標として、月探査や小惑星探査を計画しています。また、民間宇宙ベンチャーとして今最も勢いに乗る米SpaceX社は、最終的に80,000人の火星コロニーを建設する構想を発表していますし、2023年を皮切りに希望者を火星へ「片道切符」移住させる計画を開始している非営利団体もあります。実現可能かどうかはさておき、これら民間の参入により、有人火星探査がますます加速していることは事実です。
人類の宇宙におけるプレゼンスを持続可能なものにするには、輸送インフラの構築が必要不可欠となりますが、その重要な鍵を握るのが、ISRU(現地資源利用)と呼ばれるコンセプトです。月や火星に存在すると言われる氷や酸素などの資源をロケットの燃料や宇宙飛行士の生命維持に利用するアイデアが数多く提案されています。果たして、「宇宙におけるガソリンスタンド」はペイするのでしょうか。本講演では、有人宇宙探査の現状と、自身が取り組んだ宇宙における物資輸送ネットワークの研究をご紹介します。

第二講演

第120回 基調講演会

日時: 2013年10月19日(土) 16:20-18:00
会場: MIT E51-315
「なぜ行動介入は失敗するのか?行動経済学からの洞察」
河内一郎 氏
Professor of Social Epidemiology, Chair, Department of Social and Behavioral Sciences, Harvard School of Public Health

行動変容への介入は、なぜほとんどが失敗に終わるのか? 新年の決意(体重を減らす、定期的に運動をする、タバコをやめる、など)は、 なぜ大抵が失意に終わってしまうのか(三日坊主)? 今回の講演では、行動科学(行動経済学、神経科学、心理学)分野からの概念を紹介し、 人間行動と意思決定の本質について説明したい。行動変容の成功を促すために、 介入方法を改善することを目指して、これらの分野からの新しいアイデアがどのように 応用され始めているのかを述べたい

Why do so many behavior change interventions fail? How come our New Year resolutions (such as losing weight, regular exercise, stopping smoking) so often end in disappointment (the 三日坊主 phenomenon)? In this lecture I will introduce concepts from the field of behavioral sciences (behavioral economics, neuro-sciences and psychology) to explain the nature of human behavior and decision-making. I will describe how new ideas from these fields are beginning to be applied toward improving interventions to boost the success of behavioral change.

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第119回 講演会

日時: 2013年9月21日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-315
「因果関係を考えよう。医薬品の評価における疫学の役割を中心に。」
吉田和樹 氏
Research Fellow, Brigham and Women’s Hospital, Harvard School of Public Health 公衆衛生修士課程
亀田総合病院 リウマチ膠原病内科 医員

バイオテクノロジーの進歩とともに様々な分野で画期的な新薬が開発されています。今までにないメカニズムの薬剤は治療の考え方を変えてしまうインパクトを持っていますが、その実力は市販されてみないと分からないところがどうしてもあります。
薬剤は効果や安全性を担保するために治験と承認というプロセスを経て市場に出ます。しかし、これは比較的限られた患者さんでの治療経験です。このため、市 販後も実際の日常診療に薬剤が用いられる中で、継続的な効果および有害事象の評価や、他の薬剤との比較が必要になってくるわけです。
医療現場においては一人一人の患者さんに、それぞれ個別に診断や治療の対応をします。しかし、このように薬剤の評価を行う際には、集団レベルでのものの見方も重要になってきます。人の健康を集団レベルで評価するのに力を発揮するのが疫学という学問です。
この講演では主に私の専門領域のリウマチ膠原病領域の例を使い、疫学の重要な概念である正確な因果関係の評価の考え方が、どのように薬剤の治験承認プロセスや市販後の評価に関わってくるのかを説明します。
この講演を通して日常生活の中でも役立つ因果関係の考え方を意識していただけるようになれば幸いです。

「北極海における環境問題-国際法と国内法の錯綜-」
岡松暁子 氏
ハーバード・ロー・スクール客員研究員
法政大学人間環境学部教授

北極海は、カナダ、デンマーク、ノルウェー、ロシア、アメリカの5ヶ国に囲まれた海域ですが、近年、地球温暖化が原因であるとされる海氷の溶解が進んでお り、従来にない新たな問題が生じてきています。たとえば、カナダ沿岸のヨーロッパからアジアへ向かっての海域では、海氷がなくなりつつあることで、太平洋 からベーリング海峡、カナダ沿岸を経て大西洋に抜ける、いわゆる「北西航路」が開通し、年間数ヶ月ではありますが、航行が可能となりました。これにより ヨーロッパから北アメリカ大陸への砕氷装備のない通常の船舶による移動が短時間かつ低コストで可能になり、その航行数は急激に増加しています。今後海氷の 融解が進み航行可能な期間が拡大すれば、船舶の往来はますます増えていくことになります。このことから、北極海では、これまでになく船舶起因の海洋汚染が 深刻な問題となってきているのです。本報告では、この問題を巡る国際法の動向について紹介したいと思います。

第118回 講演会

日時: 2013年6月8日(土) 16:15-18:45
会場: MIT E51-325
「西アフリカでの企業投資の現場から」
小辻洋介 氏
IFC(世界銀行民間セクター部門)セネガル事務所 インベストメント・オフィサー

「今アフリカでビジネスが熱いんですよ!」と言われたら、どう思われますか?
え、うまくいくの?アフリカでビジネス出来るの??」と感じられる方が大半かもしれません。
でも、実は、アフリカのような発展途上の国々でも、ビジネスの種はたくさん転がっています。 ビジネスを通じて、発展途上国の貧困削減に取り組んでいこう、とする動きが、ビジネス界や開発援助業界で注目を集めつつあります。
世界銀行などの開発援助機関も、「貧しい人々が貧困から抜け出すためには、お金儲けや雇用を生み出す手段が必要だ。だから、もっとビジネスを育てないと!」ということを言いはじめています。
本講演では、途上国開発についてド素人だった元投資銀行マンが、IFC(世界銀行グループ)に入り、アフリカに飛び込んで、企業投資に関わる中で、見たこと、感じたことをお話しします。
その上で、アフリカ、アジア、ラテンアメリカなどのビジネスの発展のためにどんなことが起きなければいけないか、私たち一人一人がどのように関わっていけるか、みなさんに考えて頂くきっかけになれば幸いです。

第一講演
「『ボストン日本人研究者交流会』流 起業の仕方(実例紹介)」
福吉潤 氏
(株)キャンサースキャン 代表取締役
Harvard Business School (Class of 2008)

Harvard Business School(HBS)の一年生であった当時の私は卒業後に起業したいという思いだけで何をどうやって起業するかアイディアもなく、とにかく色々な人に会いネタ探しをしていました。
HBSやMIT Sloanなどビジネススクールの学生を中心にブレーンストーミングを繰り返しましたがどのビジネスアイディアもイマイチで起業の実現性は遠のくばかり。 卒業後の起業をあきらめ就職口を見つけるなら今すぐ動かないとすでに就活を始めた同級生に乗り遅れてしまう!と焦りばかりつのっていました。
そんな私がHarvard School of Public Health(HSPH)の一年生であった石川善樹と出会ったのがまさに2006年の日本人研究者交流会でした。
石川は暇さえあれば公衆衛生や心理学の論文が読みたいという(ビジネススクールの私から見ると)かなりの変人で、ビジネスアイディアを探していた当時の私の視界には全く入っていませんでした。
しかし、そんな二人があるとき、、、、
と、その後二人で起業に至る実話と、「アカデミアと実社会を結びつける」というキャンサースキャンという会社のビジネスモデルや社員として参加してくれている数名のハーバードの仲間たちの話などをご紹介します。

第二講演
「デザイナーが見た西アフリカ」
小辻智子 氏
Coach, New York

「アフリカとデザイン」と言えば”One Laptop per Child” “LifeStraw Personal Water Filter”など「貧しくてかわいそうな人々を助けるための道具を作るデザイン」を連想される方が多いと思います。
でも実は西アフリカは「美しいアートxデザイン」の可能性に溢れています。セネガルには日本に匹敵する長い歴史、壮大で美しい自然によってはぐくまれた素材、熱心に物作りをする人々、そして力強く生きる人々の暮らしを反映した数々の芸術品があります。
本講演では途上国開発に全く興味のなかったあるデザイナーがひょんなことから2009年に引っ越したセネガルの地で発見した「美しい西アフリカ」の魅力を 少しでも多くの人に知ってもらおうとセネガルの織物会社と制作したコラボレーションプロジェクトをご紹介したいと思います。
開発業界に興味のある方、将来アフリカに住んでみたい方、または西アフリカの人々の暮らしぶりを知りたい方などに聞いていただけたら光栄です。

第三講演

第117回 講演会

日時: 2013年5月18日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-325
「フューチャー・ロボット」
新山龍馬 氏
Postdoctoral Fellow, MIT Media Lab

ロボットの最先端と未来について、MITの研究環境を紹介しながら、お話しします。「ロボット」は、歯車や金属、ぎこちない動きといったものを連想させる 言葉でした。いまロボットは、やわらかく、素早く、有機的なものになりつつあります。掃除ロボット・ルンバを生んだ MIT CSAIL や、レゴ・マインドストームを生んだ MIT Media Lab でのロボットのトレンドはどうなっているのか?日本のロボットはそれに対抗できるのか?100年後のロボットはどうなっていくのか?SFよりもおもしろい、この現実世界を考える、みなさんの想像力を期待しています。

第一講演
「マイクロ流体技術が拓く世界」
橋本道尚 氏
Postdoctoral Associate, Koch Institute at MIT / Boston Children’s Hospital

近年、小さい物を作る技術がめざましく発展しています。コンピューターや携帯電話に象徴される電化製品の小型化は、私たちの生活を目に見えて変化させまし た。これらは「固い、形のあるもの」を小型化する技術がもたらした結果です。一方で「水や空気のような形のない物」を小さくして、それを正確に扱う技術― マイクロ流体技術―も発展してきました。生物が成長し、生き長らえるために水や空気などが不可欠であることを考えれば、小さなスケールで水や空気などを操 作する技術は、生体高分子や細胞の取り扱いと親和性の高い技術だと言え、様々な生物・医療系の応用が期待されています。
今回の講演では、まずマイクロ流体技術とは何かという基礎的な説明を行います。次に、組織工学と再生医療、体内埋め込み型の医療装置、ドラッグデリバ リー、途上国での疾病診断・環境診断など、現在研究が進んでいる応用分野の一部をご紹介することで、皆さんの想像力をかき立てられればと思います。最後に 皆さんとの議論を通じて、理工系、あるいは理工系に留まらない応用先を模索したいと思います。専門知識から入るのではなく「こんなことに使えそう」「こん なことがしてみたい」という視点から議論を広げたいと考えていますので、様々な分野の方とお話できるのを楽しみにしています。

第二講演

第116回 講演会

日時: 2013年4月20日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-325
「テレビの話と政治の話」
千々岩森生 氏
Fletcher School Law and Diplomacy, Tufts University
テレビ朝日 政治部記者

テレビ局の人が朝会社に来て最初にすることは?
こんなところから始めさせていただこうかと思っています。
Q:なぜ?― それは、ここにテレビの仕事の本質が表れているからです。
小泉総理がメディアを利用したってホント?
こんなところからテレビと政治の話、メディア論に入って行こうかと思っています。
Q:なぜ?― この「誤解」にいろんなヒントが隠れているからです。
日本の総理大臣ってなぜコロコロ代わるの?衆院選で自民党が圧勝したのはなぜ?
こんなところから現在の政治状況についてお話しできればと思っています。
Q:なぜ?― 政治をイメージでなく、事実に基づいて分析する大切さを知っていただきたいからです。
テレビ朝日で政治記者をしています。安倍政権内の人間模様や7月の参院選のポイントなど、タイムリーなトピックも含め、知ってるようで知らないテレビや政治の話をさせていただければと思っています。

第一講演
「世界でメジャー、日本でマイナー~LCCは日本で生き残れるか?~」
塩谷さやか 氏
MIT Sloan School Fellows Program
桜美林大学 ビジネスマネジメント学群 准教授

米国に滞在中の方には身近なLCC(ローコストキャリア)も、日本においてはなかなか浸透せず格闘中である。「LCC元年」といわれる近年、日本の航空業 界は大きな転換点を迎えている。羽田が国際化し、これまで最大のネックといわれた羽田・成田空港の発着枠が拡大するために、ここ10年で着実に成長したア ジアLCCが、いよいよ日本に照準を合わせている。政府も、LCCの誘致を優先事項の1つとして取り上げている。そして、全日空やJALも、LCCへの参 入を目指している。さらに首都圏の国際線の発着枠が倍増する来年は、LCC本格参入の年となる可能性が高い。JALの破綻と再生、羽田空港の国際化、そし てLCCの本格攻勢開始と激動の時代を迎えている日本の航空業界。激安を可能とするコスト削減の秘密は何なのか。LCCは今後どのように進化していくの か。押し寄せる荒波のなか、大手航空会社はどのようにして生き抜くか。LCCと日本の空の今後について語る。

第二講演

第115回 講演会

日時: 2013年3月16日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-315
「記憶と睡眠とアセチルコリン」
津野祐輔 氏
Postdoctoral Fellow, Department of Psychology, Boston University

記憶は私たちが生きていく上で、欠かせないものです。日々のなにげない活動も、多くの記憶に支えられています。一方、睡眠は単なる休息ととらえられ、軽視 される傾向にあります。最近の神経科学の研究から、睡眠は記憶に大変重要な役割を果たしているのではないかと考えられるようになってきました。本講演で は、記憶と睡眠の関係について、新しい知見を交えてお話します。また、記憶と睡眠に密接な関係がある、アセチルコリンという分子について説明します。アセ チルコリンはアルツハイマー病で少なくなっている分子であり、健忘改善薬のアリセプトは脳内アセチルコリン濃度を上昇させます。私自身、記憶学習に興味を 持ち、その中でもアセチルコリンに注目したことが、このボストンに来た最大の理由です。私が現在行っている、嗅内皮質細胞へのアセチルコリンの影響を調べ た研究についても、簡単に触れたいと思います。みなさまが脳について考えるきっかけになれば幸いです。

「病院における子どもの遊びと心理社会的サポート」
土谷香菜子 氏
Educator, PlaySpace Program Manager, Boston Children’s Museum

チャイルドライフスペシャリスト(CLS)という職業をきいたことがありますか?現在北米では3000人以上、日本でも27人のチャイルドライフスペシャリストが子ども病院の様々な病棟で働いています。
チャイルドライフスペシャリストは子どもたちとその家族が病院で経験するストレスを、遊びを通して軽減する役割を担っています。慢性疾患で長期入院を必要 とする子どもたちの心理社会的なサポートのみならず、最近北米では小児救急や新生児集中治療室でもその役割が認められるようになってきました。今回の講演 では、私自身のシンシナティチルドレンズホスピタル、新生児集中医療室での勤務経験をもとに、
1. チャイルドライフスペシャリストの役割と病院における遊びの重要性
2. 医療チームとの連携
3. 子どもが病院にかかって治療や検査を嫌がったときに親や家族ができる事
4. ボストンチルドレンズミュージアムでの新しい試み
を中心に、実際のおもちゃや遊びなどを交えながらお話しさせていただこうと思っています。

第114回 講演会

日時: 2013年2月16日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-315
「マルチモーダルインタラクション −異種感覚情報による知覚の変化−」
荒井観 氏
MIT Media Lab 客員研究員

普段私たちは眼から得られる情報により何かを見て、皮膚から得られる情報により何かの触感を得ているように感じます。しかし、常に眼から得られる情報だけ で何かを見ているわけではなく、皮膚から得られる情報だけで何かに触れている感覚を得ているわけではありません。状況に応じて様々な感覚器から得られる情 報を複合的に用いて何かを見たり感じたりしていることが知られています。例として、動く物体の見え方が音により変化することや、物を持つ際に知覚する重さ がその物の見た目によって変化することなどが挙げられます。
本発表では、マルチモーダルインタラクション、多感覚相互作用などと呼ばれるこれらの現象/研究について、私たち人間の持つ情報処理システムの面白さを感 じていただくことを目標にお話ししたいと思います。人間の知覚システムの簡単な概要、マルチモーダルインタラクションの基礎研究そして応用について、自身 が過去に取り組んだ研究とともに関連内容を広くご紹介出来ればと思います。

第一講演
「英国アカデミア永久職の獲得一例と栄養学者の憂い」
今村文昭 氏
ハーバード公衆衛生大学院, Department of Epidemiology

近年、研究者の就職難が問題視されています。その最中、私自身が幸運にも公募から英国の大学にて永久職を得るに至ったので、この機会にその過程などをでき る限り一般化してお伝えしたいと考えています。キャリアについて考察することは、どんなキャリアステージにおいても有益かと思います。そのきっかけになれ ば幸いです。
またジョブインタビュー時の質疑の際に話題に挙げた自身の研究(飲酒に関する疫学)から、一般の疫学関係の以下の話題に触れます。これを通じて栄養学・疫学が公衆衛生にどう寄与できるか、すべきなのかを考察して頂ければと思っています。
・生活習慣の改善による寿命の延長は1年ちょっとという日本の疫学研究
・(意外と?)科学的根拠の整理されていない話題(仮)・・・コレステロールと死亡率・お肌・高濃度ビタミンC点滴療法

第二講演

第113回 講演会

日時: 2013年1月19日(土) 16:20-18:45
会場: MIT E51-325
「スポーツ科学とアスリート」
松田干城 氏
ノースイースタン大学スポーツ応用栄養学修士課程
株式会社スポーツゲイン / Team Sityodtong Boston プロ総合格闘家

アスリートによる当日のベストパフォーマンスはどのように生み出されるのか?大勢の観衆から来る大きなプレッシャーの中で如何に自分の力を発揮するか?一般 の方がスポーツを観戦してふと思う疑問への答えは、決してアスリート達が一生懸命頑張ったトレーニングだけから生み出されるのではなく、休息、栄養、メン タル強化など様々な要素の上に成り立っています。アスリートは競技力向上のために練習時間外でも努力を惜しみません。それは一般の方が仕事や学業から離れ た「OFF」の時間と共通する時間であり、スポーツの持つ可能性をアスリートの肉体的、精神的強さ、そしてその強さを生み出すメカニズムを分かりやすくご 紹介したいと思います。
本講演は、科学的な視点とアスリート本人の視点の両方から見る競技力向上へのメカニズムがテーマです。アカデミックなスポーツ科学の知識とアスリートの経験を共有して皆様の日常生活に取り込んでいただけたら幸いです。

第一講演
「サイバー戦争〜国際的な秩序の構築と国際法の課題〜」
田中達浩 氏
ハーバード大学アジアセンター, シニアフェロー

サイバーというとサイバーセキュリティを思い起こされる方が多いと思いますが、今回はサイバー戦争の話をします。
人類は長い間の戦争の経験から戦争の災禍が人類・地球の滅亡につながらないように戦争を抑止・予防する方法や、一端戦争という手段を使わざる得なくなった場合でも、ある一定の秩序を作って最低限でも人道的なレベルを守るようにしてきました。
しかし、サイバー兵器を使うサイバー戦争では、これが核兵器や通常兵器と異なる特徴を持っているため、秩序や仕組みをどう作るのかが課題となっています。講演ではサイバー技術に関する話よりもサイバーに関する安全保障や国際法のような話を中心に講演したいと思います。
まだまだ現在進行中の分野ですが、皆さんのイメージ作りに役立つような話になれば幸いです。

第二講演