ボストン日本人研究者交流会 (BJRF)

ボストン在住日本語話者による、知的交流コミュニティーです。

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2021

第187回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年2月20日(土) 16:00-18:00
会場: Zoomによるオンライン開催
「なぜ未だにがんは治らない病気なのか 〜システム薬理学で見つけるがんの特効薬〜」

嶋田 健一 氏

Research Associate, Harvard Medical School


本講演では「がんを治す薬(抗がん剤)」の話をします。過去数十年に渡り、多くの先進国において「がん」は主要な死因であり、今後世界全体で高齢化が進むにつれ、がんで亡くなる人は増え続けていくと考えられます。がんの治療法としては、手術以外に、化学療法(薬)・免疫療法・放射線治療が主に知られていますが、どれもあらゆるがんを根治できる、とは言えないのが現状です。がんを根治する薬は、なぜ簡単に見つからないのでしょうか。この理由の一つは、がんというのが一つの病気ではなく「様々な病気の集合体の総称」ということにあります。一つ一つのがんが異なる病気であるため、使うべき薬も変わってくるのです。どうすればがんを薬で治せるのか。そのヒントを、ビックデータ解析を用いた私自身の研究内容も踏まえてお話したいと思います。

第一講演
「音楽学の冒険 ---駄作・モーツァルト効果・FBI---」

沼野 雄司 氏

桐朋学園大学、ハーヴァード大学音楽学部


「音楽学 musicology」とは、音楽(あるいは音)を対象にした学問の総称です。歌や演奏が不得意な人はいても、音楽を聴くこと自体が嫌いという人はほとんどいないでしょうから、実はこの学問は誰にとっても身近なものなのです(日本とは異なり、アメリカではほとんどの大学に―ハーヴァードにもMITにもタフツにも―音楽学専攻課程があります)。本発表では、このディシプリンの魅力を知っていただくために、前置きに続いて、僕自身が来年頭に出版予定の書物で展開している様々なアプローチの中から、3つをご紹介したいと思います。ひとつめは「駄作」の研究。これは、「傑作」こそを研究すべきとしてきた従来の音楽学への批判でもあります。ふたつめはいわゆる「モーツァルト効果」をめぐるあれこれ。いわゆる「理系」の研究者の方々にも、比較的身近に感じられるのではないかと思い、選んでみました。そして最後は現代政治史から見た音楽の研究。アメリカ史における汚点ともいえる1950年代の「赤狩り」と音楽の関係を、意外な資料から探ります。

第二講演

第186回 講演会(オンライン開催)

日時: 2021年1月16日(土) 16:00-18:20
会場: Zoomによるオンライン開催
「炎症性疾患のドラッグディスカバリー研究 〜免疫細胞の暴走を止めろ!〜」

寒原 裕登 氏

Principal Scientist
Quench Bio


細菌やウイルスが感染したときには、我々の体の中にある免疫細胞が活性化され、それに伴う炎症が引き起こされます。炎症は生体の防御機構として必要な反応ですが、過度な炎症反応は炎症性疾患を引き起こしてしまいます。炎症性疾患には関節性リウマチ、潰瘍性大腸炎、痛風、敗血症など様々なものがありますが、その多くはまだ治療薬がなく困っている患者さんが世界中に存在します。これら炎症性疾患に対する治療薬の研究開発はどのように行われているのでしょうか?今回の講演では、ドラッグディスカバリー研究(創薬研究)の全体像、私がアカデミアと創薬スタートアップの両方で取り組んできた炎症性疾患の治療薬研究に関するお話をします。

第一講演
「政府間関係の比較研究」

朴 相俊 氏

大阪大学


皆さんは現在どこに住んでいますか?BJRF(Boston Japanese Researchers Forum)という名前からすると、米‘国’のマサチューセッツ‘州’に位置したボストン‘市’に住んでいる方が多いのではないでしょうか。本講演では、‘国―州(県)―市’の関係に着目した権限配分の問題、いわゆる「政府間関係」について紹介したいと思います。政府間関係の研究は、行政学の核心分野として発展してきたテーマです。日本においても地方分権改革を機に話題になったことがあります。特に 2000 年の分権改革以降、国・自治体間のみならず、都道府県と市区町村間の関係性も変わりつつあることから様々な研究が進んでいます。東日本大震災やコロナ禍で都道府県によって対応の違いが注目を集めている中、誰がどこまでの権限を持つかは、国や自治体の可能性と限界を考える際に欠かせない問題です。本講演が皆さんと一緒に「政府間関係」について考える機会になればと思います。

第二講演